No One Lives Forever 2(ノーワンリブスフォーエバー2) レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2008年11月

No One Lives Forever 2(ノーワンリブスフォーエバー2)
機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2002年


紹介
製作はMonolith Productions。
前作(NOLF)のようにレビューサイトやユーザーのレビューでは高評価を得たが、思ったよりも売れなかったらしい。
日本でも長い間新品が出回っていて、自分は発売されてから5年後の2007年に新品を入手した。
日本語版は存在しないが、ゲーム中の文章を翻訳した本がパッケージに同封されている。
ストーリーは前作をやっていることを前提としているので、NOLF2をやるならば前作をやって欲しい。

1とはだいぶん顔が変わってしまった主人公のケイト。

ゲームプレイは前作とは全然違うものになっている。
まずはプレイヤーの能力を成長させることが出来るようになっている。
ゲーム中にミッションを達成したりすることでポイントが溜まっていき、そのポイントをもとに色々なステータスを上げられる。
ただ、まったく上げなくてもクリアできるように作られている。

また、ステルス要素がかなり洗練されている。
一旦敵に見つかると警報機などを鳴らされて敵がほぼ無限に湧いて出てくる仕様になっているので、ステルスを駆使して敵をやり過ごすしかなくなっている。
具体的には暗い場所に一定時間じっとするだけである。
そうでなくても敵は無限にリスポーンするので、マップの敵を排除してからマップを探索することが難しくなっている。
つまりは緊張感が感じ取れるようなつくりになっている。
ステルスゲームにおいて非常に重要な要素は、敵が自分を発見するかしないかの線引きをプレイヤーができるかということと、緊張感である。
NOLF2では前作ではダメだったステルス部分をしっかりと改善している。

暗い場所で見つからないように。

FPSはただの撃ちあいになることが多いが、そこにアドベンチャー的な要素を組み合わせていたのがNOLFだった。
マップを探索してアイテムを入手したり、仕掛けを作動させたり。
NOLF2ではさらにアドベンチャーっぽい部分が組み込まれている。
マップの隅々まで鍵となるアイテムを探したり、目当ての書類を探索することが多く組み込まれている。
敵の死体を探って回復アイテムを重要なアイテムを入手することも出来る。

倒した敵の懐を探る。

あと付け加えるならば、敵のAIが当時としては非常に優秀だったということ。
無限にリスポーンしてくる敵の動きを見れば分かるが、きちんとプレイヤーやその間にある障害物を認識する。
敵によっては伏せたりサイドステップを繰り返してくるのもいる。
動きが読みにくいので戦闘は楽しくなっているが、静止しなければ弾が当たらなかくなっているので、戦闘は難しくなっている。
つまりステルス要素を否が応でも使わなければクリアは難しいというスタイル。
一方でステルスオンリープレイは不可能なので、場合によっては武器を使って敵を排除することになる。

ステルスゲーム、アドベンチャーゲーム、アクションシューティングゲームの三つを高度に融合させたのがNOLF2だと思ってもらっていい。
もちろん前作でも融合されていたのだが、さらに高い次元にしたのがNOLF2である。
ただ、前作のような突き抜けた展開というか、突拍子もないユーモアは減っている。
その分腰をすえてストーリーは語られるし、ユーモアもジワジワくるようなものになっているので、これは好みの問題だろう。

今回も変な敵がいる。

レビュー
●質は高いゲームなのだが、マップを探索する要素はダメダメ

紹介に書いてきたとおり、前作の欠点をことごとく排除して素晴らしいゲームに仕上がっている。
前作との違いは完全に好みの問題だが、ゲームとしては一級品なのは間違いはない。
NOLF2の最も素晴らしいところは、アクションパートとステルスパートを上手いことミックスさせているところにある。
アクションだけでも面白く作ってあるし、ステルスだけでも面白く作ってある。
しかしどちらの要素も互いに悪影響を及ぼさないように調整がなされている。

戦闘。

アクションについては、優れたAIをもつ敵との戦闘と戦闘外の駆け引きは楽しく、射撃感覚なども良い。
ステルスはNOLF2独特ともいえる、「闇に一定時間やり過ごすことによる敵の警戒解除」がアクションとの融合において上手く作用している。
一旦敵に見つかって敵が警報などを鳴らすと、敵は無限に湧いて出てくるので、敵を排除しつつ隠れる場所を探すことになる。
(敵から逃げるだけではこちらが殺されてしまうし、隠れるための場所を発見されてしまうことがある)
隠れてやり過ごせば、敵は元のように周りを巡回し始める。
ただランダムに巡回しているので、敵の注意をわざと音を立てて逸らすか敵が違う場所へ行くのを待つことになる。
ステルスとアクション(戦闘)を駆使することがクリアのために必要とされていて、さらに駆使すること自体も面白い。

敵に追われて危ない!
というわけでバナナの皮で転ばせる。

ステルスゲームとしては主人公が強いのは欠点といえば欠点なのかもしれないが、敵は無限にリスポーンするため強くなければこちらが死んでしまう。
かと言ってごり押しできるほど高い戦闘能力を持っていない。
何度も繰り返すが、NOLF2はアクションゲームとしても面白いし、ステルスとしても面白い。
そしてどちらも組み合わせているのに、破綻していない上に新たな面白さを生み出している。

アドベンチャーゲームとして見るなら、ただ単に爆弾を仕掛けるとかマップを探索することについては別に特筆するべきではないだろう。
ただ、敵に見つからないようにしながら盗聴器をしかけたり、鍵をピッキングすることはステルス要素と密接に関わっている。
NOLF2はわざわざFPSという一人称視点で製作されているのだから、さらにステルスの緊張感は高まっている。
まあステルス要素を含むゲームはアドベンチャー要素を含むものがほとんどなのですけれど。
ところが、NOLF2最大の欠点はこのアドベンチャーパートにある。

虫型の盗聴器!

まあ簡単に言ってしまうと、人によっては特定の場所で詰まってしまうこと。
アドベンチャーゲームの詰まり方は非常にバカバカしいものであることが多い。
少し頭をひねれば気づくとか、あるアイテムを取り逃しているとかそんなのである。
で、NOLF2の場合は特にアイテムを探すのが非常に面倒なのである。
ミッションによってはマップにおいてあるアイテムを利用してコンピュータを操作したり、扉を開けたりする必要がある。
ところがこのアイテムの位置が、マップ開始時にランダムで決められる。
「マップのどこかにあるので探してくださいよ」ということなのだが、考えてみればこれがとてつもなく厄介だということが分かると思う。

固定された装置なら、初回プレイだけの苦労で済むのだけど。

すんなりと見つけられればまったく問題はない。
ところが、NOLF2では取り逃しがおきやすいようになっている。
この手のアドベンチャーゲームはプレイヤーが取り逃さないように、製作者は何かしらの措置をとっている。
わかりやすい例はアイテムをわざと光らせておくとか、ミニマップで場所を表示しておく、他には探索する場所を極度に狭めておく、とか。
もう分かっただろうけど、NOLF2では何も行われていない。
よく見ればうっすらと光っていたり、周りとは色が違うのだが、そんな「よく見れば」レベルでは取り逃しやすいのは明らかである。
つまりプレイヤーは同じマップで延々とアイテムを探し続ける羽目になるのである。
特に初回プレイでは固定アイテム、仕掛けですらどこにあるかが分かりにくいので、誰もが時間を無駄にすることになる。

こういうアイテムを探すのに時間がかかる。

グラフィックがハード、ソフト的に向上することによって、より実写に近いグラフィックになってくる。
そうなると色を控えめにすることで現実味を出したり、数段上のグラフィックに見せかけることが多くなってくる。
派手な色使いというのはゲーム的でちゃっちいが、識別のしやすさという点では群を抜いていると思う。
NOLF2ではよりよいグラフィックにするために色を控えめにし、多くのポリゴン数が使えることによりオブジェクトを増やした。
オブジェクトが増えれば、その分だけ目移りすることになる。
この二つのせいで、入手できるアイテムが分かりにくくなっているのである。

プレイするたびにアイテムの場所が違うと新鮮味があるから、リプレイ時も面白いのかもしれない。
しかしNOL2では、製作者の好意がいらない徒労を生み出している。

ライバルのイサコ。
顔がちゃんと日本人してます。

NOLF2ではプレイヤーの能力を上げられるようになったが、これはあってもなくてもよかったと思う。
良い点としては、後半になればなるほど敵配置のいやらしさや敵の強さも上がってくるので、能力を上げることによって極端に難しく感じさせないようになっていること。
つまり難易度は後半になるほど上がってくるわけではない。
絶対難易度は上がっているものの、体感難易度は上がっていないというわけである。
では「体感難易度が最も高いのはどこか?」というと、最初の数マップが最も高い。
なぜなら最初のころはNOLF2独特のステルスシステムを理解していないからである。
理解して運用できる中盤になると、ステルスを上手く使わないとクリアしにくい(しなくても出来るのだが)マップがでてくる。
だが、そのころには操作に慣れているのでそこまで難しいとは感じないはずである。
ここが能力アップを行うことで生じた、難易度のバランスの悪い点である。

この能力アップ要素と難易度調整は永遠の課題だと思っている。
特にRPGでは絶妙な難易度が作り出しにくい。
だからRPGでは多くの人に遊んでもらうために比較的緩めに調整されていることが多い。
NOLF2では極端に破綻しているわけではないので、プラスにもマイナスにも評価していない。

能力の強化。

前作と比べるとゆったりとしたストーリー、変化の少ないステージ、控えめな雰囲気は評価が分かれるところだが、自分はマイナス評価としている。
これらはNOLF2が悪いと言ってるのではなく、前作を超えることは出来なかったと思っている。
ストーリーは内容を話すとこれからゲームをやる人にとっては面白くないので、簡単に。
自分はNOLF独特のヘンテコな雰囲気が好きだったのだが、NOLF2では落ち着いた雰囲気になっている。
もちろん奇妙な敵やじわじわくるユーモアはあるものの、1のような奇抜さはなくなっている。
垢抜けたのはいいのだけれども、一方でパワーを失ってしまったようだ。

爆弾解除

まとめ
アクション要素とステルス要素をうまく組み合わせて出来た名作なのは間違いない。
ただアドベンチャー部分のわずらわしさはどうしようもない欠点で、いいところを消してしまっている。
そして質の高いストーリー展開や豊富な場面変化は確かに素晴らしいものの、NOLFの後継作としてはやや不満が残る。
ゲーム部分では前作を超えたが、周りの部分では前作に及ばなかった。
前作をやっていなくても楽しめるが、ストーリーでいきなり前作のネタバレ要素が出てくるので前作をやっている人にこそやってほしい。
違うゲームだと割り切れば、NOLF2はNOLF2でよく出来たゲームだと実感してもらえると思う。
点数75点

リンク

公式ウェブサイト
Monolith

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