No One Lives Forever(ノーワンリブスフォーエバー)レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2008年11月

No One Lives Forever(ノーワンリブスフォーエバー)
機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2000年


紹介
2000年に発売されたゲームの中で、海外で最も評価されたのがこの「NO ONE LIVES FOREVER」(以下NOLF)である。
開発はMonolith。

ストーリーは手短に言うと、女性が軽視されていた60年代を舞台にイギリスの諜報機関に所属する女性諜報員ケイト・アーチャーが活躍するというもの。
60年代といえばいかにも古臭いけど新しい時代と言え、パロディに使われやすい時代である。
そういうわけかNOLFでは「いかにも」なシチュエーションや、パロディ、他にも奇妙なセンスの登場人物やセリフがふんだんに登場する。
どちらかといえば、FPSはシリアスな展開や重いストーリー、残虐表現を展開するゲームが多い。
そう考えるとNOLFは出た当時もそして今も異質な存在だということ言える。

主人公のケイト。
独特のファッションセンスや色彩がこのゲームの特徴である。

またFPSというジャンルではあるが、どちらかといえばメタルギアソリッドのようなアクション要素を含むアドベンチャーゲームに近い。
いわゆる攻防を楽しむFPSではなくて、敵とのやりとりを通じて進める楽しさを重視するゲームである。
このNOLFではステルス要素がゲームにおいての重要な要素を担っている。

ゲームはよくあるミッションクリア式の形式となっている。
まずは次のミッションについての軽いブリーフィングやチュートリアルを受け、その後でミッションに出かけていくという形式。
ストーリーはミッションの間または途中にリアルタイムレンダリングの人形劇によって語られる。
登場する道具にはユーモアにとんでいる奇妙な特殊武器が多く、いかにもスパイ映画のパロディという雰囲気がある

NOLFではセリフには皮肉のきいた言い回しや日本人的には表現的にピンとこない表現が見られる。
あと英語版では日本語Windowsとの問題から、不都合が起きるらしい。
したがってできるならば日本版を入手したい。
現在は中古でしか手に入れることが出来ないが、有名なゲームなのでオークションなどを根気強く探せば見つかるはずである。

一部のミッションにはボスもいる。

レビュー
●盛りだくさんの内容、充実したストーリー、アクションアドベンチャーゲームとしての傑作
BR> NOLFが発売された2000年、海外のレビューサイトやプレイヤーはハーフライフ以来の衝撃と捉えたらしい。
しかしハーフライフといえばその後のFPSに多大な影響を与えたFPSとして有名だが、NOLFは他のゲームに影響を与えたとは言いにくい。
簡単に言えば、NOLFは他のゲームで使われていた要素をうまいこと組み合わせたという点で衝撃だった。
またNOLFはハーフライフを超えたとも評されている。
よく考えてみれば後発作品の方が先発の作品を参考に出来るので質が高くなる可能性は高い。
そういうわけで、ハーフライフの打ち立てた金字塔は変わりはしないがNOLFはハーフライフ並に面白いというのが一般的な評価であることを覚えておいて欲しい。

FPSというジャンルの性質上、どちらかと言えばアクションを楽しむゲームが多い。
しかしNOLFのシューティングアクション部分ははっきり言って出来は悪い。
敵との交戦での楽しさとかはあまりなく、難易度調整もヘタクソである。
特に高難易度の場合、敵の攻撃によるダメージが極端に高い癖に敵の攻撃をよける手段が少なく、遠くから狙撃するか敵をハメる必要性が出てくる。
また難易度が最大の場合ゲームを進めていれば絶対にダメージを追わなければならない場面が出てくるのは、難易度の調整失敗としか思えない。

書類を拾っているところ。
書類から面白い情報が得られるところはアドベンチャー的である。

とは言ってもこれはどのゲームにも当てはまることだが、ノーマル難易度が開発者が考えた最もバランスの良い難易度である。
したがって他の難易度は調整不足になることはごく普通のことだとは思う。
ところがNOLFの場合、この調整不足がゲームシステムと相互にかみ合っていない。
NOLFは、敵をバンバン倒していくアクションゲームではない。(もちろんそういう要素も多分にあるが)
敵とまともに交戦しないようにして排除していくゲームである。
つまりはステルス要素と呼ばれるような、敵に気づかれないようにして進めるシステムを利用し、敵となるべく殺さないで進めるゲームである。
しかし、NOLFのステルス要素ははっきり言って失敗である。
どのようにしたら敵に気づかれないのか、敵をかく乱できるかという区切りが非常に分かりにくい。
著名なステルスゲームはその線引きがしっかりと作られており、プレイヤーは敵を欺くために奮闘をする。
なぜならステルスゲーは主人公の戦闘能力が低い代償として、そのような線引きや主人公のステルス能力強化が行われているのである。
NOLFはなまじ主人公の戦闘能力が高く設定されており、そのせいかステルス要素が非常に曖昧に設定されている。
はっきり言って難易度がノーマル程度ならステルス強要のマップではない限り、ただ戦闘を繰り返すほうが楽にクリアできる。
また高難易度になればダメージが大きくなるのでステルスが強要されるのだが、やはりステルス要素が結構いい加減なため、非常にストレスがたまりやすい。
開発者側としてみれば、どちらにも偏らない新たなプレイ感覚を目指したのかもしれないが、結果として成功しているとは言いがたい。

敵に見つかる前に狙撃。

結果としてクイックセーブを駆使してランボープレイに走ったプレイヤーはおおいのではないかと思う。
NOLFの面白さはこういうところにあるのではなく様々な道具を駆使して軽やかに進むことにあると思うのだが、プレイヤーへ面白さを伝える工夫が足りていない。
しかし、ミッションによって様子がまったく様変わりするマップのつくりは非常に評価できる。
メキシコの町並みからジャングル、雪山、沈没船、宇宙基地までありとあらゆるシチュエーションがそろえられており、みるだけで楽しい。
また戦闘はあまり面白い物ではないが敵AIは当時のものとしては非常によく作られており、敵を倒すだけでもド派手なリアクションをしたりと面白い。
ただし戦闘力に関しては全然たいしたものではなく、あくまでも人間らしさを感じさせるAIである
とりあえず戦闘バランスの悪さは他の点でなんとか補っている感じである。

宇宙ステーションまで行くケイト

ところでここまで読んでききた人には、なぜNOLFが絶賛されたのか分からないのではないだろうか。
NOLFで評価されているのは魅力的なストーリーラインや演出、登場人物たちなのである。
ストーリーラインは実に面白く作られており、次のミッションをプレイする原動力になってくれるだろう。
スパイとして世界を飛び回るという設定のため同じようなマップをプレイすることはない。
したがってマップごとに違った武器や道具、またはミッションの内容を遂行することが違和感なく受け入れられるし、ゲーム側ではそれが実装されている。
敵を倒すことが主眼に置かれているわけではないので、これらのようなアドベンチャーゲーム的要素がふんだんに盛り込まれている。
NOLFは良い箇所が欠点を覆い隠してしまったゲームだと言える。
またストーリー重視のゲームはリプレイ性軽視になりがちだが、NOLFはリプレイを予め見越したデザインがされている。
やるたびにアイテムの位置が変わっていたり、リプレイしなければコンプリートできないアイテムがあったりする。
総じてボリュームがかなりあり、まともにプレイするのなら15時間はかかるのではないかと思う。
ただ単に意味のないサブクエストを増やすことで水増ししたプレイ時間ではなく、純粋に面白さを味わえるメインストーリーだけでこのボリュームがある。

飛行機から落下中の様子。
どうやって助かるかはプレイしてのお楽しみ。

しかし、全体的に流れる独特の雰囲気は人を選ぶ。
私はこのような雰囲気が大好きなので喜んでプレイしたものだが、人によっては拒絶反応がでるかも知れない。
また敵を殺すことに快感を覚えるプレイヤーにもお勧めできない。
敵を倒すと血がたくさん出るなんてことはこのゲームにはない。
ただ単に倒して進むミッションだけで構成されているわけではない。

ターゲットを尾行するミッション。


まとめ
合うかどうかはおいておいて、このゲームが面白くないと考えるプレイヤーはいないと言えるほどのゲームである。
初心者でも上級者でも楽しめるように作られているので、何かシングルプレイFPSを探している人は絶対に抑えておきたい。
ただし、敵を殲滅するようなゲームではなくアドベンチャー的な要素をもつゲームである。
軽いノリで進行するゲーム展開もあわさって、合わない人には合わないと思われる。

点数81点

リンク

公式ウェブサイト
Monolith


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