Time Shift(タイムシフト) レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2010年9月
Time Shift(タイムシフト)
機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2007年
紹介
Time Shift(タイムシフト)はSaber Interactive開発、Sierra Entertainment発売のFPSである。
海外ではPCのほかPS3とXBOX360でも発売されているが、国内版は未発売なので注意がいる。
タイムシフトは時間を操るゲームである。
短い間、時間を止めたり、経過を遅くしたり、巻き戻ししたりして敵を倒したりしていく。
主人公の体力はかなり低く、時間操作を上手く使わなければクリアできないようなバランスになっている。
難易度イージーであっても時間操作なしでプレイするのは無謀である。
時間操作は一定時間たてば再度発動できるようになっている。
雨のシーンで止めると水滴が見える
戦闘で使う時間操作はストップ機能とスローモー機能である。
効果時間に違いはあるものの、敵を倒すときにはどちらも重宝する。
タイムシフトには近距離向けや発射してから着弾まで時間差のある武器が多い。
したがって効果的に時間を操作しながら武器を当てることがクリアへの鍵と言える。
巻き戻し機能は戦闘ではあまりつかえない。
主に環境パズルを解決するために使う。
例えば勢いよく風が吹き出している地点で巻戻しを使うと、風向きが一定時間逆になる。
これを利用して普段いけないようなところへ進んだりできる。
他にもいくつかの仕掛けがゲーム中に用意されている。
別に時間を操作しなくてもいいのだが、難しすぎる
ストーリーは理解が難しい。
話を説明するムービーシーンは存在しないのに、場面がコロコロと変わってしまう。
またタイムパラドックスを利用したオチが最後に用意されているのだが、これも説明不足。
これから買う人は純粋にゲームプレイだけを楽しんだ方が良い。
開発チームはロシア在住ということなので、雰囲気やバランスがあからさまにロシア系ゲームとも言うべきものになっている。
つまりB級ゲームということだ。
やや退廃的な雰囲気の漂うグラフィックや、全部で30用意されているステージはイマドキのアメリカ製ゲームでは見かけない。
古くさいゲームとも古き良きゲームとも言うことはできるだろう。
地下鉄構内とか雰囲気でてる
レビュー
●意外と一本調子な時間操作
どのように評価するかが難しいゲームである。
ロシア製にありがちな独特の雰囲気が好きならば高く評価するだろう。
クリアまで長く遊べることや時間操作の奇抜さが肌に合うのなら、これも良作FPSに位置づけられる。
しかし見方を変えるとグラフィックだけは良くとも、冗長で時間操作だけが取り柄であると考えることもできる。
タイムシフトは時間操作についてどのように捉えるかによって評価がまったく変わってしまうのである。
そこで時間操作の長所と短所を見比べることでタイムシフトがどのようなゲームなのか浮かび上がらせていく。
時間を操作している際は、画面に特殊なエフェクトが出る
時間操作ありきのバランスで作られていることは既に紹介でも述べたとおりである。
例えば初期武器のアサルトライフルは銃弾の命中率が非常に低く設定されているので、敵とまともに撃ち合っても主人公がやられてしまう。
そこで時間の流れを遅くしたり止めたりすることで攻撃力を上げる。
タイムシフトの時間操作は自分の動きはそのままに周囲の時間を変えるため、時間を操作しているとき主人公の攻撃力は高くなる。
他の武器は主に近距離しか当たらないショットガンや火炎放射器、発射してから着弾までの時間差があるので当てるのが難しいボウガンやエネルギー銃がある。
これらは普通の状態だと当てることすら難しいので、当てるために時間操作を行う。
時間を止めて敵に近づいたりするわけだ。
また主人公の体力は著しく低く設定されているので、時間を操作しないで無闇に敵と戦うとあっという間に死んでしまう。
ついでに言うと敵が一挙に3、4人出てくることも多い。
プレイヤーは一度に1人の敵しか攻撃できないため、時間操作をしなければ大きな損害を被る。
タイムシフトは色々な足かせによってプレイヤーに時間操作を強制していると言えるだろう。
そのかわり時間操作は効果時間は比較的長く、操作のためのエネルギーがたまる間隔は短く設定されている。
つまりプレイヤーは時間を操作しているときは鬼にでもなったかのような強さを、普段の弱さと引き替えに手に入れられる。
火炎放射器を使う
これは何を意味するのかというと、開発側からプレイヤーに「時間を操作せよ」と強制されているのである。
敢えて時間操作を使わないでやろうとしても苦行に他ならない。
タイムシフトはFEARのような、プレイヤーの選択肢の一つとして特殊操作を埋め込んだゲームではない。
言い換えるとタイムシフトはプレイヤーにゆだねられた裁量(自由度)が少ないと言える。
実はFEARに代表される選択肢の一つとしての特殊操作は、使われない可能性を秘めている。
使わなくてもクリアできるように作られているのだから、プレイヤーが使う義理というのもないのだ。
だからタイムシフトは特殊操作の使用を強制することで、独自の操作をプレイヤーに必ず体験させる。
プレイヤーに使ってもらうことで時間を操作する楽しさというのを理解させるのである。
タイムシフトは時間を操作して敵を倒すのが面白い。
時間を止めて敵を攻撃し、時間の流れを元に戻すと、それはそれは「おまえはもう死んでいる」の世界である。
流れを元に戻した瞬間に敵は生気を失って倒れていく。
ゴア表現もかなり力が入れられている。
敵を倒すと肉塊になって血もドバッと出てくる。
時間を操作して敵を倒したときの、爽快感やヒット感覚も申し分ないと言えるだろう。
いちぶに過激な表現のシーンもある。やっぱり肉塊になる
以上が時間操作の長所である。
生身の状態を弱く設定することで時間操作の強さを体感させ、時間操作の効果も強力すぎるぐらいにしておく。
武器も時間操作を前提とした使い道になるように調整する。
元々時間を変化させて戦うことはゴア表現の凄まじさとも相まって、開発チームにとって自信がある。
そのため、プレイヤーは時間操作の楽しさを何重にも増して感じ取るのである。
だがここで一つ問題がある。
結局は時間を操作してさえいれば敵をあっという間に片付けられてしまう反面、物足りなさや変化のなさを生むのではないかという問いである。
タイムシフトの開発チームはその欠点が分かっていた。
だからこそ戦闘に使う時間操作を二つ(遅くする効果と一定時間止める効果)用意している。
また武器の使い分けを意識させるような展開を意識的にもってきている。
ところどころに時間操作を使って解決する仕掛け(パズル)もおいてある。
とはいえ欠点を完全に消し去るほどの効果はない。
こういうアメリカっぽくない箇所はロシア製ならではだと思う
戦闘で使う時間操作は遅くする効果と一定時間止める効果なのだが、実のところ効果はほとんど同じなのだ。
敵が多少動くか制止するかの違いしかない。
プレイヤーがボウガンやショットガンを当てるために時間操作を使う限り、二つの操作に違いはない。
したがって戦闘における時間操作は一つの効果しか生まないと言える。
使い分ける意味がないのである。
スローモーの速度が遅すぎて時間停止との区別が作られていないとも言い換えられるだろう。
開発会社は時間操作を強くすることでタイムシフトの面白さを伝えようとしている。
武器の弾薬は豊富で、武器は時間操作時と組み合わせることによって最高の能力を引き出せるようになっている。
タイムシフトは時間操作をバリバリ使うゲームである。
だから時間操作は強力になるように調整されている。
ところが手応えというものがない。
主人公があまりにも強すぎるため、時間操作をするタイミングを測るだけでクリアできるゲームになりかねない。
しかし解決法として現在よりも主人公や時間操作を弱くする場合、難易度が急激に高くなる恐れがある。
時間操作能力を発動することが前提のデザインなので、不必要な難易度の高さはクリアできないプレイヤーを生み出すかもしれないのだ。
悩ましいところだ。
敵が出てくる場面はどれも同じようなものが多いのも欠点である。
中盤からはマンネリとの戦いになる。
時間操作パズルも解決法が一緒のものばかりである。
巻き戻し機能はパズルぐらいにしか使い道がない。
また絶対数も少なく、タイムシフトの欠点を補っているとは言えない。
開発会社は欠点が分かっていながら、十分に対策を行えなかった。
こいつが主人公です。スーツを着ています
つまるところタイムシフトは時間操作のことだけを考えていくゲームである。
武器を使って狙うとか、敵の弱点を狙って撃つことはまったくない。
ただひたすらストップやスローモーを発動できるように遮蔽物の裏に隠れ、頃合いをみて時間を操作しながら特攻するだけでいい。
時間を操作する限り主人公は無敵に等しい。
そして弾薬は有り余るほど用意されてもいるので、どうやって倒しても良い。
しかし時間を止めて動かない敵に攻撃をぶちかますというのはどの武器でも使用法は同じである。
武器の使い分けは形式的にあるものの、武器の使い方に習熟する要素も必要性も皆無なのだ。
かといって手加減して時間操作を発動しないで進むことは不可能なくらいに、生身状態の主人公は弱い。
自由に組み立てられるような格好をしているが、その実は時間操作という枠にはまったゲームである。
ウリの時間操作は工夫のしがいがない。
タイムシフトはゲームに上達する過程が存在しない、ただスローモーを連発するだけの単純なFPSであると言える。
バタくさいグラフィックが良い味だしているんだよね
まとめ
グラフィックよし、敵AIよしと良作になれるポテンシャルを持っている。
ところが時間操作の目新しさはあくまでも目新しさに過ぎなかった。
すぐに慣れてマンネリ化し、飽きる。
点数 65点
リンク
GameWatchのレビュー記事(日本語)
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