Soldier of Fortune II Double Helix (ソルジャーオブフォーチュン 2 ダブルヘリックス) レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
レビュー最終更新日 2010年6月
Soldier of Fortune II Double Helix (ソルジャーオブフォーチュン 2 ダブルヘリックス)
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機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2002年
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Soldier of Fortune II Double Helix (ソルジャーオブフォーチュン2 ダブルヘリックス 以下SOF2)Raven software制作Activision販売のFPSである。
2002年発売で海外ではXBOXにも移植されているが、日本はPC版だけが販売されている。
名称はソルジャーオブフォーチュン2 二重螺旋である。
PC版ならば無料の日本語化パッチが配布されているので、英語版を買っても日本語化が可能だ。
昔はマルチプレイが大人気で一世を風靡していたそうだが、いまはほとんどいなくなっている。
ひきつづき痛烈なゴア表現がゲーム最大のウリとなっている。
豆腐みたいに敵の足や手がふきとんでいた前作と違って、ショットガンやマシンガンを思いっきり当てなければもげたりしないのだが、グラフィックの質感や銃声の重さが上がっていることもあってゴア表現のきつさは相も変わらずである。
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相変わらずひどい表現だ
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ランボーみたいなゲームだった前作とうって変わり、SOF2はリアルなバランスに作りかえられているのが特徴だ。
動きながらだと照準が広がり、銃を連発すると弾がまっすぐ飛ばなくなっている。
走ると視界はグラグラ揺れるし、銃の反動も大きい。
したがって低い難易度でも敵を地道に排除していかないときつくなってくる。
ゲーム自体の難しさはけっこう高いほうなので、カスタム難易度を使って自分にあった難易度にすることをおすすめする。
カスタム難易度を選択すれば敵の攻撃力やセーブ可能回数を任意に設定できる。
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しゃがんでリーンが基本だ
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そんなに出来がいいとは思えないが、ストーリーやアドベンチャー要素も重視されている。
敵が隠れているところなんぞお構いなしに突き進んではすぐに死んでしまうので、敵の位置を覚えて先読みしていかなければならない。
架空兵器も削られていて、こうした方向は「リアルさ」を追い求めた結果だと言える。
味方の軍隊と共闘するシーンも少しだけ用意されている。
ゴア表現と重厚な銃撃感からは単純なアクションゲームを思い起こさせるが、意外とそうではないのがSOF2である。
ただしそれが成功しているかどうかはまた別の問題だ。
マルチプレイは残念ながら誰もプレイしていないのでレビューは行わない。
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謎の病原菌がまかれた?
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●感触は悪くないのだが、細かいところで損をしすぎている
SOF2はゲームエンジンにQuakeIIIエンジンを採用し、前作よりも格段に表現力が向上した。
スクリーンショットを見てもおわかりいただけると思うが、SOF2に限らず2002年ごろのゲームはかなり「見れる」グラフィックだ。
内部解像度をがんがん上げているとはいえ、今でもけっしてみすぼらしく感じられはしない。
とくに銃の金属的質感がよく描写されている。
これだけのグラフィックなのだから残虐な表現についてもさぞかしすごいのかと思いきや、腕がぶっちぎれるような部位破損表現は前作と比べるとかなり押さえられている。
銃で撃たれた敵はべっとりと血を流し、ただのポリゴン人形がまるで生きているかのように体が倒れていく様子は相変わらず使われている。
だが、プレイヤーの使う銃の命中率がピストルやサブマシンガンを中心に下げられていることと、前作は敵の手足がいとも簡単に吹っ飛ぶことが銃弾が当たったことをわかりやすく示すバロメーターとなり銃撃の感触を高めたことを考えると、SOF2で部位破損表現を抑えめにしたことは失敗だった。
その結果、SOF2では銃が当たったのかどうかがかなり不明瞭になっている。
確かに至近距離でショットガンをぶち当てたりヘッドショットすれば強烈なゴア表現が描写されるのだが、クリーンヒットしなくとも破損していた前作と比べるとかなり残念だ。
これは血が出ないからダメだとか言っているのではなく、あくまでもプレイヤーが銃を撃ち、敵に当たるという過程についてだめ出しをしている。
やはりグラフィックが向上したことによって、リアルさとゲームらしさを両立する難しさが発生し、さらに表現の度合いも鮮烈になってくるからだと思われる。
あまりにも不自然な表現はリアルなグラフィックにそぐわないかもしれない。
そして直接的な表現は規制にひっかかかるかもしれないのだ。
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燃えろ!
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またリアルさの追求がゲームを面白くするわけではないことを、システム側からも説明することができる。
銃弾がややバラけることに加え、敵から受けるダメージが尋常じゃないほど高く、移動しながら銃を撃つとあべこべの方向へ弾が飛ぶため、SOF2しゃがみながら進むゲームとなっている。
しゃがむと敵の銃弾を高確率でかわせるようになるので、リーン(=体を傾けること)を含めてクリアするためにはかかせないシステムだ。
敵を見つけたらしゃがんでリーンしながら攻撃をすればいいのだが、SOF2ではそうもいかなくなっている。
かなり高い頻度で敵がグレネードを投げてくるのである。
威力が異常に高く設定されているし投げられたかどうかがこれまた分かりにくいので、いつのまにか即死していたなんてことが多い。
加えて敵に投げられたのを察知して後退するも、敵を倒しに元の場所へ戻ると再度投げられてしまうことも多かった。
地味な展開になりがちなゲームを、グレネードを投げつける賢いAIで起伏あるものにしようとしていたのだろうが、結果はストレスをため込むだけである。
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室内戦も多く、敵があちこちに隠れていることも
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SOF2は敵配置もかなり嫌らしい。
草が生えていて見通しが悪い地点から狙撃する敵、ビルの上階から一方的に攻撃する敵、暗闇のステージの狭い場所で待ち構える敵が代表的だ。
リアルさの追求を考えるとプレイヤーを倒しやすい場所に敵がいるのは自然なことだろう。
しかし、ちょっとえげつない配置で殺しにかかってきすぎである。
全体的に敵の数が多くて常に厳しい戦いをしなければならないのもSOF2の欠点である。
リアル系でダメージが多いのに大量の敵を捌くというのはかなり難しい。
回避不可能なグレネードはぽんぽん飛んでくるし、敵の反応速度も早い。
これからSOF2をやる人は、難易度でセーブ可能回数を無限にすることをお勧めする。
初期設定は有限なので何度も繰り返して難しいシーンをクリアする羽目になる。
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どこに敵が・・・
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こちらが使う武器についても最強の武器OICW(=未来型突撃銃として開発されたが中止された武器)が煩雑な操作で使いにくい。
グレネードも自分が投げるものは変な挙動で投げたい場所に投げ込みくく、グレネードが落ちた場所から敵が逃げ回るので敵を巻き込むことが難しくなっている。
SOF2は難易度が変に高いのである。
その難易度の高さを一段と高めているのは「次に行く場所」のわかりにくさだ。
一本道のマップなのに、少し戻ってバルコニーを伝ったり、壁を乗り越えたり、狭い通路を抜けたり、ジャンプで看板を伝っていったりしなければならない場面が多く、迷いやすい。
アドベンチャーゲームのように次にいく場所を探させているだと思うのだが、いちいち戻って探さなければならないなど不親切である。
あとはヘリコプターを打ち落とすシーンも特定の場所を狙わなければならないのに、ヒントが全くないので攻略法を調べなければわからなかった。
SOF2には不親切なところの多さが目立つ。
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色々と散策して無駄に体力を減らしてしまうことも
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難易度が高いだけではなく、平坦な展開であることもSOF2のダメなところである。
ストーリーはチャプターごとに長々とシーンが作られているのだが、山場も何もないストーリーである。
終盤に用意されているどんでん返しも見せ方が悪くてプレイヤーに印象を残せていない。
そして、なによりも私が最も気に入らなかったのはNOLF(No One Lives Forever、2000年Monolith開発)に酷似した展開である。
主人公が秘密組織に帰って任務を受け、新たな場所へ飛び、最後はどんでん返しが待ち受けるのはNOLFとそっくりだ。
秘密組織の雰囲気はまさにNOLFそのものであった。
ここで私の中のSOF2の評価はガタ落ちした。
2年前に発売された、FPSという同ジャンルの名作ゲーム(NOLF)から露骨に影響を受けたゲーム(SOF2)が、同じく2年前に高評価を得たゲーム(SOF)の続編として発売されるとは酷い話だ。
しかも開発SOF2は「ストーリーにも力を入れ」ていたそうである。
いかに典型的なストーリーであるとはいえ、あまりにも似すぎではないか。
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敵「ぐぅっ・・・やるな!」なんちて
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ずいぶんと手厳しく書いてきたが、それでもSOF2は安物ゲームと比べものにならないぐらい面白い。
前作よりも銃撃感は多少薄れているとはいえ、かなり直接に残虐表現が行われているので当たった感触は強い。
変に高い難易度や不親切な仕様、面白くもないストーリーを除いて考えると、重厚な射撃を楽しめる良質なミリタリーシューターである。
ただし、SOF2はほとんどが上にあるような興ざめする場面しかないのがダメなのだが。
もうすこし練られて作られていたとしたら、難易度は低めに設定され、親切なヒントのポップアップやわかりやすい仕様に置き換えられ、ストーリーももっとスリムにできたかもしれない。
そうなれば間違いなくSOF2は前作に匹敵する良ゲームとして広く知れ渡っていたであろう。
前作は絶妙なバランスが生み出した面白さが評価されていたが、SOF2はもう一度ゲームを構築したためかバランスの悪いゲームになってしまっている。
特に細部の作り込み不足は深刻である。
たとえ些細なことでも積み重なり絡み合えば、大きな問題となりうるのである。
SOF2は材料は良いのにかなりトンチンカンで常軌を逸した味付けをされた料理みたいなものだ。
開発者がよかれと思ってやったことが裏目に出ている。
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オートマチックショットガン最強
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強烈なゴア表現をウリにするシリーズ第二弾。
ややリアルなゲームバランスで、しゃがみを使いこなければクリアは不可能なぐらいだ。
また、いらぬところの仕様で難易度が非常に高い。
中途半端な仕様ばかりでせっかくの良好な銃撃感を生かし切れていない残念なゲームだ。
点数 63点
公式ウェブサイト