Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン) レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2010年6月
タイトル
Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)
機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2000年


紹介
Soldier of Fortune(ソルジャーオブフォーチュン)はRaven software制作Activision販売のFPSである。
日本ではPC版のみ発売されているが、ずいぶんと再販が行われていない。
理由は強烈なゴア表現だと思われる。
日本で販売されるゲームは性的表現に関しては緩いが、暴力についてはやたらめったら厳しい。
ソルジャーオブフォーチュンとくれば「あの残虐ゲームね」と言われるほどに有名なのだ。
敵を銃で撃ったときの出血や部位破損が生々しく表現されており、2000年に作られたゲームであるが故のお粗末なポリゴン人形を古く感じさせない。
海外ではPC、DC、PS2と発売されているので、ほしければ輸入版を手に入れるのが手っ取り早いだろう。

Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)1
これが噂の破損表現

難易度はいくつか用意されているが、最低難易度と高めの難易度ではまったく違うゲームへと変貌する。
一番低い難易度では敵の攻撃がこちら側にまったく当たらない上にあたっても全然ダメージをうけない。
ソルジャーオブフォーチュンは動きながらでもジャンプしながらでも比較的まっすぐに自分の撃った弾が飛ぶので、ショットガン片手に殺戮ショーをおこうなうことができるのだ。
ショットガンは威力が高いので敵当たったときの部位破損ぐあいも激しい。

一方の難易度高めでは敵の攻撃力と反応速度が尋常じゃなく高くなる。
考えもなしに敵の目の前に出ていくとすぐに撃ち殺されてしまうため、いくつかの方法で敵を始末する必要が出てくる。
それには敵に気付かれないように曲がり角から半身を出して敵を倒したり、わざと敵に見つかってこちら側へおびき寄せるなどの方法が有効だ。
敵と戦うというより、敵AIの弱点を突くようなイメージである。

Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)2
FPSといえば食肉工場である

そしてソルジャーオブフォーチュンはかなり単純なゲームだ。
ストーリーは凝っていないし、この手のゲームにありがちな謎解きもない。
出てくる敵を撃ちながら先に進む、古い様式のFPSである。

『Soldier of Fortune』というのは軍事雑誌の名前のことで、監修のもと作られているそうだ。
特に銃音の迫力やモデリングの緻密さにそれが現れている。
その割にレーザー銃みたいな架空兵器が出てくるのは少し謎だが。

Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)3
ショットガンの迫力はすごい


レビュー
●一粒で二度美味しい

FPSというジャンルは単純に考えると銃を撃って先に進んでいくゲームだ。
まず銃というモノがあって、それからゲームが作られていく。
綿密に練られたレベルデザインとか奇抜なシステムとかはもちろん大事だが、銃を撃つことが面白くなければどうにもこうにもならない。
ソルジャーオブフォーチュンはまるで実際に銃を撃ったかのような、とは言っても銃を撃ったことはないが、豪勢な感触が残るFPSだ。
この点が類似のFPSや続編を含めても極めて優れている。
今でこそグラフィックは古くなってはいるが、そこに込められた描き込みや音声は並々ならぬ気合いを感じる。
ソルジャーオブフォーチュンは以下に述べる二点が良くできている。

Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)4
敵の倒れ方が生々しい

まず、銃声にが迫力があり、モデリングは緻密で、静止状態で銃をいじったり弾を込めるモーションがかっこいい。
ショットガンやマグナムピストルを撃ったときの音は特に低音が効いているので、聞いているプレイヤーが圧倒されてしまう。
ゲームの中では、この二つの武器の威力が高めに設定されているので安心して使うことができる。
銃をぶっ放したときの反動の描写も大げさなぐらいにパターンが用意されている。
ナイフを押しっぱなしにすると残像を出しながらシュパシュパ切るのだが、これがまたかっこいい。
あんまり使う場面がないのは残念だ。

次にリアルすぎるとまで言われている、銃があたった敵の表現方法だ。
あまりにもグロいために、「その手」のゲームの話題では、ソルジャーオブフォーチュンは必ずといって良いぐらいに話題に上る。
ソルジャーオブフォーチュンには体の部位ごとに銃弾のあたり判定と、あたったときのモーション、そしてもげたときのモーションが用意されている。
つまり敵が左足の先を撃たれたときは、つま先をタンスの角にぶつけたときのような動きをして痛がる。
腕をマグナム銃で吹っ飛ばしたらガックリと膝をつきながら絶命する、といった具合だ。

Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)5
死体切り

残酷な表現があるゲームというのは、たいていは血がべっとり出てくるとか部位破損があれば、残虐だと見なされる。
しかし、こんな表現よりも更に残忍な表現方法はある。
それがソルジャーオブフォーチュンのように、痛がる過程や、ついさっきまで生きていた人間が肉のかたまりへと変わっていく様子を事細かに描く生々しいやり方だ。
プレイヤーが敵のキャラクターを見て痛そうだなと思ったらしめたものだ。
ゲームをクリアするためにはそういった感情を押し殺しながら進んでいかなければならないのだが、ある程度進むとと慣れっこでどうでも良くなってくる。
脚が千切れなくなって物足りないな、とかわざわざショットガンのような強力な銃を使って『ヒャッハー(゚∀゚)』と感じるようになったら、アブナイ人だけれども、これがソルジャーオブフォーチュンの正しい楽しみ方だ。

ただ、オーバーリアクションなのは付言しておく。
ピストルを撃たれるだけで腕や足が吹っ飛んでいくのである。
これは敵に銃があたったことを分かりやすくするための方法なので、リアルじゃないからダメというわけではない。
むしろ当たったのかどうかが一発でわかるから、ゲームとしては優れている。

Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)6
「ごめん脚ふっとばしたわ」

難易度を低くすると自分の体力を気にすることがなくなるので、敵をどうやって倒していくかだけを考えるだけでよくなる。
ソルジャーオブフォーチュンは複雑なルールもない単純なFPSだ。
こういうゲームは難易度を低めにして、頭が真っ白な状態で遊ぶのも面白い。
銃を撃って敵を倒していく感触がよくできているために、何も考えていなくても遊べる。
ゲーム後半では一発で敵の手足や頭を吹き飛ばすことができるマシンガンを持てるようになり、さらに爽快感が上がる。
架空の超兵器も登場して向かうところ敵無しだ。
しかし出てくる敵が数種類の人型タイプしかいないのはやや単調だ。
クリアまでに結構な時間がかかるので、長い間やっていくとかなり飽きてくるかもしれない。
古いゲームだけあってオキマリの展開も多いと言える。

かといって難易度を高めにしたら最後まで飽きずにできるかというと、これもまたわからないと私は思う。
その理由は、本当に難しいからだ。

Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)7
サダムフセイン発見

最高難易度ともなると、クリアできないことはないけれども相当難しい。
単にダメージが大きくなるというのも理由だが、敵の反応速度が異常に高くなるのとクイックセーブ回数の減少が痛い。
ほんの少しだけ体を敵の前に出せば、オートエイムで必中の攻撃をお見舞いしてくる。
したがってアクション性豊かに敵を倒していくのは不可能だ。
難易度が低ければ可能だったが、高いときはできない。
どうやって進むのかというと、敵の脚や腕が辛うじて見える程度の位置にリーン(体を傾ける動作)を使って移動してチマチマと攻撃するのだ。
これ、面白いのかというと、攻略しようとするなら結構面白い。
どんな場面でも絶対に、敵が辛うじて見える位置では反撃してこないという法則が存在するため、敵の位置を覚えながら一歩一歩進んでいく達成感がある。
またステルス性が要求される一部のマップでは、リーンしながらの攻撃は敵に気づかれにくいので重宝をする。
だが、やはり難しすぎて一部のマゾゲーマー以外は楽しめない。

クイックセーブ回数の減少は難易度を飛躍的に高めており、同じステージを何度も何度も繰り返す羽目になる。
もちろん、昔ながらのゲームということでリトライを楽しむこともできるだろう。
そこで私がお薦めしたいのは、「難易度カスタム」だ。
カスタム難易度はクイックセーブ回数や敵の攻撃力を自由に設定できるので、クイックセーブを無限にしてその他は高難易度と同じ状態でプレイしてもいい。
こうすれば不必要に高い難易度で苦しめられることはなくなるだろう。
ソルジャーオブフォーチュンはプレイヤーが自由に遊び方を選べるのだ。

Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)8
こういう脚だけを狙って削るのが難易度を高くしたSOFだ

ここで終わってしまうと、開発はどのようなゲームを作りたかったかがわからないままなので、続編のソルジャーオブフォーチュン2を参考にして考えてみよう。
本作からわずか2年で発売された2は、難易度低めでも初代ソルジャーオブフォーチュンのハードモードのようなゲームになっていた。
つまり難易度が低めであっても、リーンを駆使しながら丁寧に敵を排除していくリアル性を基軸にしていたのである。
だいたいシリーズ二作目はマニアックに作り替えられることが多いので、Raven softwareの考える真のソルジャーオブフォーチュンは難易度ハード以上ということになりそうだ。

初代は難易度を低くすると不必要に下がっている。
目の前で敵が銃を撃っているのにこちらにまったく当たらないんもに加え、当たっても雀の涙ほどのダメージしか受けなくなる。
いくらゲームが苦手な人向けや爽快感重視といっても、少しやり過ぎの感じは残っている。
あまりにも主人公が強すぎてスーパーマン状態だ。
そして難易度をノーマルよりもを高くすると、今度は敵の反応速度やダメージ量が飛躍的に増大してしまう。
敵の攻撃力が強すぎて二三発食らうと死んでしまうほどなので、体力回復アイテムやアーマーがほとんど意味をなさない。
同じく極端な調整だ。
未来兵器やロケットランチャーなどは使い道が難しくて、難易度が高くなると「使った方が難しい」というよくわからないバランスになってしまっている。

あまり深く考えずに遊ぶと二通りの遊び方に加えて綿密な難易度調節機能、そしてクリア不能に見えても実は突破口があるゲームとしてソルジャーオブフォーチュンは楽しく遊べる。
単にぶっ放すゲームかと思いきや、ロケーションによって敵の出方などが事細かにかわり、ステルス性も必要な場面があるなど、プレイヤーをなんとか飽きさせないように考えて作られていると思う。
しかし細かいところを見ると、ソルジャーオブフォーチュンはかなり際どい作りになっており、一歩間違えれば駄作になり得た紙一重のゲームだとわかる。
こういう細部の危ういところが開発のRaven softwareらしいと言えるのではないだろうか。
2000年のゲームとして考えると本当によくできていて今でも十分に通用する面白さはあるが、どこかズレた感じがソルジャーオブフォーチュンからは抜けきれない。

Soldier of Fortune (ソルジャー オブ フォーチュン)9
日本ステージの一風景。アニメ絵だけど古いよなぁ、これ。


まとめ
難易度を低くして無双ゲーにしても、難易度を高くしてリアルっぽいゲームにしても楽しめる難易度調整がすばらしいゲーム。
銃撃を撃つ感触と当たった感触が数多くのFPSの中にあっても抜きんでている。
驚きなのはこれが2000年に作られたゲームだと言うことだ。
美しい映像表現よりも大事なモノがソルジャーオブフォーチュンにはあると言えるだろう。
ただし、かなり際どい調整のされ方がされており、ゲーム自体も古めかしいステージクリア式であることは注意した方が良い。
最近のゲームのような至れり尽くせりコテコテな作りではないからだ。

点数 76点
リンク

公式ウェブサイト



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