PaperMan(ペーパーマン)レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2009年4月
タイトル
PaperMan(ペーパーマン)
機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2009年


紹介
ペーパーマンはゲームポットが運営をしているオンラインFPSである。
他のFPSにはない要素をいくつか取り込むことで、乱立するオンラインFPS界で生き抜こうとしている。

まずこのペーパーマンが難産の末オープンサービスが開始したことを紹介する。
もともと韓国のとある会社で開発されていたペーパーマンだったが、色々あって韓国のサイカンゲームズが開発を引き継いだ。
そして日本でもサービスを展開するべく日本法人を作り、クローズドベータテストを行っていたのだが、サイカンゲームズの親会社の事業整理によってサイカンゲームズは消滅することになった。
つまりペーパーマンは一時お蔵入りになってしまったのであった。
しかしペーパーマンの開発メンバーがゲームの権利と開発者をセットにして売り込み、ゲームポットという会社の元もう一度サービスを開始できることになった。
ゲームポットでの正式なサービスが行われたときは、サイカンゲームズのテストサービスが終わってから一年近くたっていたのであった。

キャラクターが挙げかれた看板を見ている画像
待ちかねたペーパマンの始動だ

ペーパーマンはその名の通り、ゲーム内キャラクターが「紙」である。
紙であるから、銃で撃たれても血が飛び散ることなく紙吹雪が飛ぶし、横を向けばペラペラになる。
またキャラクターはアニメ調の親しみやすいモデルに統一されているのでミリタリー中心のFPSの中では親しみやすいほうだろう。
独特のグラフィックを生かすために、アバター要素が豊富に用意されているのも特徴だ。
自分の好きなように人物や服をゲーム内通貨で買い、カスタマイズすることが出来る。

他のFPSとひと味違うのは、敵を倒したときに攻撃力アップのアイテムが現れたり、所有するアバターによって能力が違うことだ。
つまりRPGなどで使われている要素を持ってきていることになる。
また対戦をすることが主な遊び方のFPSでは異質とも言える会話だけをするチャットルームの存在など、他のオンラインゲームで行われているサービスも取り込まれている。
要するにとっつきやすそうな見た目を利用して、FPS最大に慣れていない新規ユーザーを獲得しようとしている。
ただ一応初心者向けのチュートリアルはついているが、初心者には結構難しいかもしれない。

チュートリアルの説明画像
チュートリアルは難しいが親切だ

しかし戦闘ともなると他のオンラインFPSと大差はない。
つまり見た目は非常に気軽に出来そうな感じを受けるが中身はそうでもないと言うことだ。
しかも他のFPSに慣れた人も、癖のある操作感覚やバランスになれるには結構時間がかかると思われる。
例えば、ペーパーマンでのグレネードはダメージを与えるためのものではなく、キャラクターを上空に吹っ飛ばしたり、キャラクター(紙で出来ている)を燃えさせるために使われることが多い。
なぜか体力回復用のグレネードもある。
他、敵を倒したときにアイテムが落ちることがある。
モノによっては戦局を左右できる強力なアイテムもあるので、ペーパーマンで上手くなろうとすると独特のプレイスタイルが必要になってくる。

ペーパーマンで搭載されているゲームモードは、基本的なデスマッチ、チームデスマッチのほか、爆破やキャプチャーザフラッグである。
見た目こそキワモノであるが、中身はごく普通のFPSだと言えるだろう。

MP5での戦闘画像 銭湯にて
戦闘ともなれば銃器を扱うところがまだまだかなーとはおもう。

レビュー
●FPSとしての出来は悪いが、他の要素は魅力的

難産の末ようやく運営開始に漕ぎ着けたペーパーマン。
そこまでして権利を取得したゲームを成功させるための戦略を、現在の開発会社であるゲームポットはしっかりと描いている。
ペーパーマンはMMOなど他のオンラインゲームをやっている人が気軽に参加できそうな雰囲気と、実際に参加できるようなシステムを作っているのだ。
FPSと言えば、「リアルな戦場!」「頼れるのは見方と自分だ!」「生きるか死ぬかのサバイバル!」といったミリタリー色を押し出していることが殆どだ。
ところがペーパーマンは見た目がポップで生々しくもなく、非常に取っつきやすそうな雰囲気を出している。
同じようなFPSゲームがたくさんある中で何かをやるか迷ったとき、見た目からくる求心力は大切だ。
もちろんペーパーマンで初めてFPS最大に触れるプレイヤーのための措置も充実している。
基本的な操作を学ぶチュートリアルや、実力別に分けられたサーバーが用意されているので上級者に狩られ続けることもない。

レベル別にサーバーの様子の画像 初級者サーバーに人が多い
レベル別サーバーの様子。
初級者サーバーほど人が多い。

つまりペーパーマンの運営にやる気があるのだ。
これ、当たり前のことのようだが実に重要なことである。
オンラインゲームでは運営側がしっかりとプレイヤー側へイベントやアップデートを働きかけることが大事だ。
特に、運営して間もない頃はユーザーをガッチリと獲得してスタートダッシュを決めなければならない。
ベータテストの時から、ペーパーマンは豊富なアップデートやイベントを開催しており、プレイヤーを飽きさせないように頑張っていると言える。
ただ問題点があるとすれば、アップデート後は必ず不具合が起きることぐらいだろうか。
一日もたてば改善はされているのだが、誰しもアップデートしたてのときに遊びたいものだろう。

そして課金前提の金銭バランスにしていないのも好印象だ。
さすがに無課金だと廃人プレイをするしかないが、他のMMOと比べれば遥かに良心的だ。

ゲーム終了後は大きくアバター紹介
アバターが前面に出ている。

カラフルな世界が印象的なペーパーマンは、アバター要素も豊富だ。
自分の使えるキャラクターが豊富、そして上下の服、髪型、靴、目つき、アクセサリーまで決められる。
これで自分の好きなようキャラクターをコーディネートすることも出来るのだ。
もちろん人気のある服装は「高い」(ゲーム内ポイントでも通貨でも)のはお約束と言ったところ。
FPSというゲーム内では自分の姿を見ることは出来ないような気もするが、ペーパーマンではそんなことはない。
左下には常に自分のアバターが表示されるし、ゲーム終了後はアバターがどアップで映し出される。
それに、チャットモードという三人称視点でのんびりとマップを探索してチャットをするモードもある。
現時点では特に何の利点も何もないモードなのが欠点なのではあるが。
ただ、アバター要素をきっちりと見せていることは他のFPSにはない大きな特色であることは間違いない。

アバター紹介。4つ
色々なアバターがあるぞ

しかしペーパーマン最大の欠点は、ゲームがFPSとして面白くないことである。
いくら運営が良くてアバター要素が良くても、中身がしっかりしていなければどうしようもない。

まずペーパーマン最大との特徴であるアバター要素はとても素晴らしいことなのだが、使うアバターによって能力が明らかに違う。
今のところキャラクターは主に三種類あり、普通タイプ、大型だが耐久力があるタイプ、小型だが耐久力が低くて移動が少し遅いタイプの三つだ。
そしてアバターの強さという点では小型タイプが圧倒的に強い。(アップデートでだんだん改善されてきてはいるが)
その理由は簡単だ。
FPSというゲームは「敵を狙って攻撃を当てること」を競う射撃ゲームである。
したがって的が小さいと非常に当てづらいので、背丈が小さなアバターは有利になる。
だからこの問題を解決するために、小型キャラクターには移動速度の低下と耐久力の減少という欠点が用意されているのだが、あまり意味をなしていない事がペーパーマンの欠点である。
耐久力も足の遅さも、すぐに分かるぐらい大きな程度にしなければ、他のキャラクターとの強さの折り合いがつかない。
しかもこのアバターは価格が高いので、相当やった人じゃなければ使えない。

ネコ型の弱いアバター使いと戦闘
映像のアバターは「弱いアバター」として認識されている

またアバターに服やアクセサリーをつけることでファッショナブルにみせることはペーパーマンのもう一つのいいところだがコレにも問題がある。
服やアクセサリーには微々たるものながらも、能力が追加されているのだ。
だから「強い組み合わせ」というのがどうしても生まれてしまう。
FPSは敵を倒すか倒されるかというゲームなので、強さを追い求めると皆が皆同じような格好になっていく。
そして自分の好きな服やアクセサリーをつけて気に入ったキャラクターが、自分の好きな武器や自分のプレイスタイルとあわないことは往々にして起こりうる。
確かにアバターとファッション要素自体は素晴らしいし、個人個人に沿ったスキルをつけること自体は悪くも無い。
問題はアバター要素にスキルが組み込まれてしまっていることと、強い組み合わせが存在してしまっていることなのだ。

もうひとつ「強い組み合わせ」を助長しているのが武器の強さのバランスだ。
とても強い武器が決まってしまっているのである。
もちろん腕の差で何とかなることもあるのだが、どうしても武器バランスの悪さは際だっている。

ペーパーマンをやっていると、同じようなキャラクターの格好で同じような武器を使ったキャラがゲームの上位にいることがすぐに分かるだろう。
せっかくのアバター要素も、ゲームとして真面目に勝とうとすると消えてしまう。
腕の高さを競うのがFPSなのに、アバターや武器の強さでかき消しているのは理解できない。
非常にもったいないといえるだろう。

戦闘終了後の映像
これは戦闘終了後の様子だが、女性キャラや普通以上の強さのキャラが多い。

そしてペーパーマンはゲームバランスの面でおかしいだけでなく、FPSとして純粋に面白くない。
なんというか表現しにくいのだが、ペーパーマンの不可解さは発射した銃弾の飛び方が予測不能で当たっているのか当たっていないのか分からないところにある。
「あたったはずなのに当たっていない」「あれもう敵を倒してしまった」ということが頻発する。
これにはいくつかの要因があると思うのだが、ここでは三つ紹介する。
一つ目はキャラクターが紙なので横を向くと攻撃がまったく当たらなくなることが理由だ。
ペラペラ感が売りかもしれないが、現状では当たったり当たらなかったりのランダム要素にしかなっていない。
二つ目は「急所」設定のいい加減さである。
FPSでは自分も敵にも急所が設けられていることが殆どだ。
そこを狙えるかがゲームの面白さを演出していくはずなのだが、ペーパーマンでは三つ用意されている上に判定が狭いので当たるかどうかは本当に分からない。
運がよければ当たるし悪ければ当たらないといった感じだ。
三つ目は銃弾のばらつき方がランダムすぎる点。
遠くの敵を狙って攻撃してみるとよく分かるが、命中しやすい武器を使っても当たるときと当たらないときがある。

これら三つの要素により、ペーパーマンでは一対一の戦闘で銃のマガジンを1つ使い果たすまで戦闘を続けてしまうことが多い。
結果、自分も敵も一回の戦闘で当たらない武器を振り回して、どちらかが生き残ることになる。
当たっているのか当たらないのか分からない武器を使ったFPSなど面白いはずが無い。
当たるか当たらないかが明確に線引きされているからこそ、ゲームは面白くなるのだ。

焼かれた相手と戦闘
とにかく撃ってりゃいいのさとなってしまう

マップ構成については、「紙」独特のゲームシステムを意識したものとなっており結構良いと思う。
ペーパーマンではグレネードを投げたときに敵を空中に浮かせることができる。
空中に浮いた敵は攻撃が当てられない状態、つまり無防備な状態になる。
したがってグレネードをあてて敵を狙うことが大切である。
これを踏まえてペーパーマンのマップは、「狭い路地」と「まがり角」が意図して作られている。
つまり相手にグレネードを当てやすい場所がたくさん用意されているのだ。
ただ、やたらと狭い場所での戦闘が多くて入り組んだマップにはなっていないので、マップ構成を研究するための面白さはあまりないと言える。

最後になるが、敵を倒したときに時折落とすアイテムの存在は良くも悪くもない。
例えば無敵になるアイテムをとれば相手を倒すチャンスになりえるし、逆に相手にとられたらこちらが危険になる。
どのように使うか生かすかは自分も相手も等価なわけ。
もし、「FPSにアイテムはいらない!」と考える人なら邪道だとは思うが、うまく生かすことを考えればそんなに悪くも無いと思うだろう。

個人的な意見としては、もっと銃の比率をなくしてライトなゲームにしてもよかったんじゃないかと思う。
パチンコ玉、火炎放射器、水鉄砲、未来的な武器でも登場させて他のFPSとは違う点をどんどん出せばペーパーマンらしさがもっと磨かれたはずだ。

ペーパーマンらしいエアショットを決める画像
グレネードで相手を吹っ飛ばして、エアショットだ!

まとめ
キャラクターがアニメ的なFPSはこれくらいしかないので、非常に特殊な雰囲気がある。
豊富なアバター要素はバランスも悪さを引き出してしまうが、それでも十分に魅力的である。
初心者でも楽しめるような配慮がなされており、実際初級者が多いサーバーほどにぎわっている。
しかし紙をモチーフにしたゲームバランスは良いところと悪いところが混在している。
まずはペーパーマンをプレイし、自分にあっているかどうかを見極めたほうがよいだろう。
運営は非常に積極的にイベントを行ったりしているので、明るい雰囲気も相まって閉塞感はない。

点数54点
リンク

公式ウェブサイト



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