Medal of Honor: Pacific Assault(メダルオブオナー パシフィックアサルト)レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2008年11月
タイトル
Medal of Honor: Pacific Assault(メダルオブオナー パシフィックアサルト)
機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2004年


紹介
EAの看板FPSシリーズメダルオブオナーのPC版第2作目がMedal of Honor: Pacific Assault(以下パシフィックアサルトとする)である。
開発はEAで、PC版のみの発売となっている。
パシフィックアサルトはその名の通り第二次世界大戦の中でも太平洋戦争を舞台にしているのが特徴である。
その太平洋戦争の中でも真珠湾攻撃(1941年)から始まってタワラの戦い(1943年)と前半部分を描いている。
もちろんプレイヤーはアメリカ軍の兵士を操作することになるので、日本兵を相手に戦うことになる。
完全に日本語化された日本語版が発売されているが、廉価版は発売されていないので今となっては少し割高。
英語版でよければPCのメダルオブオナー3本がセットになったものが海外で発売されている。

主人公の画像
主人公

まずゲームプレイにおいてもっとも特徴的な要素は、常に仲間と行動を共にしていることである。
それまでのシリーズでは性能の関係もあってか、仲間と行動する部分はあるものの単独で行動する場面が結構含まれていた。
しかしパシフィックアサルトではそれが完全になくなっている。
また仲間へは簡単な指示を与えることもできる。
他に面白い要素としては、体力の回復は仲間の衛生兵を呼ぶことで出来るようになっており、これは体力がゼロになったときも可能である点である。
この場合、一定時間内に衛生兵がプレイヤーを回復させないとゲームオーバーとなる。
ただ衛生兵を呼べる回数は四回までという制限があるし、調子に乗って敵に突っ込むとあっという間に蜂の巣にされるので使いどころを考えないと攻略不能になる。

衛生兵が復活させてくれる画像
死んでしまったけど、復活させてくれる

パシフィックアサルトは前作のアライドアサルトと比較すると総じてシビアなゲームバランスに変わっている。
銃の命中率は全体的に下げられていて、特に移動しながらの攻撃や攻撃ボタン押しっぱなしの連射では敵に弾がほとんど当たらない。
したがって立ち止まって銃を撃つことが大事になってくる。
またアメリカ軍の所有する武器は結構強力な反面、弾が慢性的に不足するため性能的に劣る日本軍の武器を使う必要も出てくる。
日本軍の武器は当たらないし威力は低いしリロード時間も長いというマゾ仕様になっている。
あと銃剣攻撃は非常に強力なので、効果的に使用しないと弾薬の管理が結構きつい。

戦線の舞台は南国の島々なのでジャングルでの戦闘が主なものになる。
ジャングルの表現力はかなりしっかりしており、植物が生い茂った空間を見事に再現している。
一方で植物が多い茂っており視界が悪く敵の位置がわかりにくいので、慎重に進むことが必要になってくる。
したがってゲームのテンポはけっこうスローな方だと思う。
どちらかというと前作はアクションよりの戦闘だったが、パシフィックアサルトはタクティカルな方向性の戦闘であると言える。

多くの味方と共にする画像
味方と一緒に戦おう

ところで相手の日本兵は流ちょうな日本語を話してくれる。
中にはなぜか関西弁を話すのもいるが、面白いのを抜粋してみると「この白豚が!」「天皇陛下万歳!」「お国のために!」という感じ。
日本語版では一部の言葉が不適切な発言として省かれているが、インストール時に英語版を選ぶことが出来るので問題はないだろう。
敵の行動パターンでは、「着剣!」と叫びつつ銃剣攻撃(というかバンザイ突撃)をしてくるのはかなりびっくりした。
日本兵はジャングルに紛れて隠れている上に服の色も判別しにくいので、不意打ちを食らいやすかったりするのだ。
まあ人によっては敵が日本兵というのはかなり抵抗感があるかもしれない。

敵のバンザイアタックに備える
バンダイアタック


レビュー
●良くできてはいるが全体的にパッとしない

このゲームが発売されたのは2004年で、同時期にハーフライフ2などの大作が他にもあったためか非常に影が薄い。
確かによく見てみればグラフィックや味方AIの良さというのは他のゲームに大きく劣っているわけではないが、同時期に格段に上の技術を見せされてしまっては少し寂しい。
とは言ってもジャングルの表現力や人物の表情描写は結構力が入っており、ゲームの雰囲気向上に大きく関わっている。
2004年のゲームとしては合格点を与えたいところだ。
ところでパシフィクアサルトは、前作のようにアライドアサルトのようなイベントを中心にこなしていくゲームではない。
どちらかというとジャングルの見渡しの悪い場所や日本軍の塹壕を攻略していくアクション的な側面が強い。
もちろんスクリプト(台本)による演出はあるけれども、プレイヤーを極端に拘束させることは少ない。
ストーリーは訓練所からプレイヤーととともに行動する三人が、戦闘でつむぎだしていくものと考えてほしい。

衛生兵は頼れる仲間だ
例えば衛生兵の様子だと、後半になれば服は汚れていく

パシフィックアサルトはジャングルでの戦闘が中心だが、プレイヤーの動ける範囲というのが非常に狭く設定されている。
つまり広い場所を突き進むのではなくて、狭い帯状の道をまっすぐ進んでいくのである。
自由度という面ではかなりさびしいものがあるが、たとえば日本軍のたむろする集落や塹壕はある程度開けておりどの順番に攻略してもいいようになっていることもある。
とは言っても基本はジャングル風の狭い道をノソノソ進んで物影に隠れている日本兵を地道に排除していくことがゲームプレイのほとんどを占める。
あとは塹壕の攻略といったほかのゲームにも比較的見られる要素である。
ジャングルでの戦闘がパシフィックアサルトの特徴といえるだろう。

で、この戦闘だがスローテンポなものの戦略性があって面白いと思う。
敵に突撃して攻撃を当てようにも当たらないし敵の攻撃力も高いので、安全な場所や死角からせっせと攻撃を加える。
マップは起伏に富んでいて木などの障害物が多いので体を隠しながら敵と光線をしやすい場所が多い。
また分隊行動をしているので味方を利用して攻略方法を変えることもできる。
たとえば味方と同じ場所から前線を押し上げていくのでもいいし、仲間を横目に敵の側面をつくのもいい。
ほかには仲間を後方においておいて自分ひとりで戦ってもいいだろう。
プレイヤー一人では結構厳しいバランスとなっているが、仲間が敵の注意を散らしてくれたりするので攻略しやすくなっていると言える。
ちなみに味方のAIはかなりしっかりしているといえる。
障害物をきちんと認識するし、プレイヤーに合わせてフォーメーションをとってくれる。

味方AIがしっかりしている証拠の画像
きとんと高所をとってくれるのには驚いた

もうひとつ戦略性を高めているのが、慢性的な弾薬不足と敵の銃器の貧弱さである。
自軍の武器は強力なものの入手できる弾薬が少ないので節約しながら戦うことが攻略の鍵となってくる。
日本軍の武器なら結構落ちてはいるのだが、正直言って使い勝手は最悪だからだ。
つまり銃弾を一発一発的確に敵に当てていくことは難しいものの、それをしなければゲームの難易度は高くなっていく。
弾薬バランスはかなり絶妙な調整がされており、節約を心がければマップの最後まで初期武器を持ち歩くことも可能である。
このような、敵をがんがん倒すとかアクションを競うとかとは無縁で地味なバランスだが、しっかりと調整されており面白い。

俺の大好きな軽機関銃の画像 カッコイイぜ!
いや、それでも俺は96式軽機関銃を使う

しかしこのような調整はシステムをわりと飲み込めたときに面白いと感じるのであって、なれない人には面白さを少しも感じないと思う。
人によっては好き嫌いも生じるだろう。
おまけにパシフィックアサルトは難易度が結構高い。
敵の日本軍はこっちを待ち受けているかのように機関銃を配置していたりするので、かなり不利な状況をひっくり返すことを強いられる。
遠くの敵を当たらないライフルで狙撃し続けるのはさすがに骨が折れる。
確かに万全の警備をしている場所を切り崩していくのは面白いが、必然的に難しくなるだろう。

しかし本当の意味で難易度を押し上げているのが一部の強制的なミッションである。
それは、高射砲でゼロ戦を打つ落とすシーンと飛行機を操縦してドッグファイトなり地上の物体を破壊する場面である。
簡単に言うとどのゼロ戦を打ち落とせばいいのかが非常にわかりにくい上に時間制限つきなので結構厳しい。
あと飛行機を送受す売る場面は操作性が本当に最悪なのでほかのミッションの面白さをすべてかき消してしまっているんじゃないかというほど。
でもまあ理不尽というかストレスフルなのはこの二つの場面くらいだろう。
ほかは単に難易度が高いという場面が多い。

いらないシーンの画像
最悪の航空機ミッション
かがむボタンで三人称視点にできるのが唯一の救い

難しいがやりがいのある戦闘は好みの話だとして、パシフィックアサルトの欠点は極端なまでの地味さにある。
とにかくジャングルでの戦闘の割合が多すぎる。
進めども進めどもジャングルで、やっと開けたと思ったら集落か日本軍の塹壕である。
道が一本道であることもあいまって非常に単調になるのは決定的な欠点である。
また、盛り上がりが欠ける展開もマイナスポイントである。
真珠湾攻撃の場面やタラワ環礁への上陸は燃える場面ではあるものの、はっきりいってゲーム中ではこの二つしかかっこいい場面がない。
これでは単調でつまらないゲームという烙印を押されても反論はできないだろう。

全員バンザイアタックという恐怖
日本軍の突撃だ

まとめ
数少ない太平洋戦争を描いたゲームなので、興味がある人はそれだけで買いだろう。
ゲーム内容はランボーゲームではなくて結構シビアでタクティカルで、スロ−テンポかつ地味なので好みが分かれる。
同じようなシチュエーションや盛り上がりに欠ける展開は欠点だが、基本的な戦闘部分は面白く、マップは使いまわしのように見えてそうではない。
個人的には結構面白い部類のゲームだと思う。
ただ難易度は結構高めで面白さがわかりにくいので他のFPSをやった後じゃないと投げ出してしまうかもしれない。

点数72点
リンク

公式ウェブサイト

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