戦場のカルマ レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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レビュー最終更新日 2010年4月
タイトル
戦場のカルマ
機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2009年


紹介
戦場のカルマは韓国Dragonflyがプロデュースをし、日本はハンゲームが運営をしているオンラインFPSである。
2009年にベータテストとサービスを開始している。
韓国では「karma2」という名前で運営されていることからも分かるように、元祖オンラインFPS「Karma」の名前を引き継ぐ続編だ。
プロデュースのDragonflyは日本のオンラインFPSを切り開いた「スペシャルフォース」を開発した会社でもある。
したがってゲームの操作感覚はスペシャルフォースに似ている。
別にジョークを言うわけではないが、このあたりで戦場のカルマがどんなゲームか分かってしまう人は多いだろう。
あんなゲームである。
運営としては「現在すでにFPSをプレイされている方を中心に」「コアなFPSファンや,ミリタリー好きの方など」を戦場のカルマのターゲットとしている。
確かに戦場のカルマは、第二次世界大戦の、それもソ連とドイツが戦う東部戦線を舞台としていたり、動作に必要スペックが比較的高い。

市街地での戦闘
市街地での戦闘!
(ちなみにスクリーンショットはアンチエイリアスをかけるのを忘れていたので、少しギザギザしている)

特にグラフィックスは他のオンラインFPSと比べても段違いにレベルが高い。(パッケージと比べちゃダメだぞ)
汚れた雰囲気を醸し出す武器やマップの造形は本物を参考にして緻密に作られている。
そして東部戦線の硝煙漂う世界が舞台なので、とにかく男臭い。
おっさんキャラしかいねえ上に、かけ声も渋い現地語で行われる。
好きな人にはたまらないかもしれない。
しかしゲームの外面(映像・音声等)は他のオンラインFPSとは違う個性があるものの、ゲームの中身自体はそれほど奇抜ではない。
リスポーン時に切り替えられる4つの兵科システムや豊富なゲームルールはコア向けとして宣伝されているものの、既成のオンラインFPSにある要素である。

港湾
コンテナの画像

戦場のカルマはスペシャルフォースみたいなゲームである。
例えばジャンプ中でも前後左右に空中移動できたり、まっすぐ走るよりも斜め移動の方が早かったりする。
特定のスキルをゲーム内ポイントで購入すれば、奇妙な動きの高速移動を行うこともできる。
そして、いくら第二次世界大戦で使われたレトロ武器を使うと言っても、現代でいうアサルトライフルのように使える武器が殆どを占めているため、ゲームプレイが現代戦と何も変わらない。
こういうのが特にスペシャルフォースをやったときの独特の感覚そのままなのである。
見た目は斬新でも中身は既存のゲームの焼き直しに近い。
また課金専用の強力な武器・アイテム、階級が上がるごとに使えるスキルアイテムも実装されている。

サーバーはデディケイテッド方式を採用しているそうだが、相打ちがおきやすく、これでは韓国本国で使われているP2Pをやめてまで運営している意味が薄れてしまっている。
総じてクセが強いゲームだと言えるだろう。

SFと同じマップ
たとえばこのマップはスペシャルフォースと同じマップだそうだ


レビュー
●まさにグラフィックだけのゲーム

私が戦場のカルマで高い評価を与えられるのは兵科システムとグラフィックである。
兵科システムのように状況に応じた様々な選択肢が用意されているのは、今後のオンラインFPSで主流となりそうな気がする。
グラフィックは当時の雰囲気が再現されていることはいくつかのスクリーンショットを見てもらえれば読者にも容易に理解できるだろう。
第二次世界大戦というオンラインFPSで初めての試みであっても、それなりのクオリティに仕上がってきていることは素直に評価をしたい。
意外と重要な要素だが、マイナーな武器も実装されていている
いつもゲームをレビューしていて思うのだが、ゲーム作りで最も面白さに関わってくる上に作りにくいのはルール作りやバランス作りであり、こうしたグラフィック関連ではない。
しかし戦場のカルマは最も力を入れるべき箇所をおざなりにしている。
特にマップの作りがお粗末すぎるのである。

レイルヤード
絵になるグラフィックス

FPSの対戦には個人戦もあるとはいえ、普通は2チームに分かれて対戦を行う。
そのときに勢力が片方に大きく傾いてしまうことがある。
よくできたゲームならば、劣勢のチームが盛り返せるような調整や一息付ける要素を織り交ぜている。
一方的になりにくいマップを作ったり、ランダムリスポーン方式(復活場所)がきちんと用意されているものだ。
こういっては失礼だが韓国産のオンラインFPSでよく考えてマップを作っているゲームに出会ったことがない。
その中でも戦場のカルマは特に劣勢チームが酷い目に遭いやすいようなマップばかりである。
まず、片方の陣営が極端に不利になっているマップが多い。
だから一方的な展開になりやすく、買っている方も負けている方もまったく面白くない。
さらには劣勢になった際の盛り返しもやりにくいマップ構成もいただけない。
自分が復活する地点の近くに敵が隠れる場所が多く、明らかに押し込んだ方が有利になってしまっている。

団体行動
集団で動く

マップの作りでもう一つ述べておきたいことがある。
戦場のカルマには自軍と相手軍の陣地の間が開けているマップが多い。
想像しにくい方は、マップのど真ん中が開けていると考えていただきたい。
ともすると遠距離攻撃が可能な狙撃兵という兵科ばかりでの撃ち合いになってしまうのである。
しかも狙撃兵が隠れる場所がかなり多い。
それゆえ負けているチームが相手陣地へ押し入ろうとしても、相手にとっては敵の姿が丸見えなので、すぐに対処されてしまう。
陣地側ほど複雑で入り組み、干渉地点ほど開けているので、開けた場所での待ち伏せが驚くほど有利だ。
明らかにマップの作りがおかしい。
狙撃兵には強力すぎる武器が装備できることも重なり、その武器の名前を取って「モシンゲー」と揶揄されている。
モシンを持った狙撃兵ばかり目立っているのが現状だ。
マップの作りがおかしいからこそ、兵科ごとのバランスやチームごとのバランスも引きずられるように崩れ去っている。
おそらくマップの構成を改善すれば、それなりに兵科ごとの強さは均衡するんじゃないかと思う。

スナマップ
マップによってはスナイパー天国となっていることも

またマップの少なさもバランスの悪さを感じさせていると言えるだろう。
ただでさえマップの数が少ないのに、その中にはバランスが狂っているものしかないのが戦場のカルマだ。
ゲームルールは非常に多彩で、個人デスマッチ、チームデスマッチ、爆破、占領などなどたくさんある。
ここは良いところである。
しかし大量のルールの割には用意されているマップが少なく、いつも同じような展開のゲームになってしまいがちだ。
主に遊ばれている爆破ルールの話をすれば、わずかに2つのマップしか実装されていない。
だから長時間遊ぶとすぐに飽きてしまう。

なまじグラフィックに力を入れたせいでマップ開発に時間がかかり、新規マップの実装が遅れているのではないかとの疑いも出てくる。
大作ほどアップデートが少ない傾向がある。

ぐれ
グレネードを投げる!

他に気になるのは相撃ちの存在だ。
デディケイテッド(Dedicated)方式を採用するのだから原理的に相撃ちが起こることはあり得ないはずなのに、戦場のカルマでは起こってしまう。
さすがにP2P(ピアツーピア)方式ほどのラグや通信環境の善し悪しによる不快感はないが、相撃ちが残っている時点でFPSとしてあり得ない。
相撃ちは相撃ちだけに限らず、敵と交戦すると不必要にダメージを負うという結果をもたらす。
つまり普通に突撃するプレイヤーは不利となってしまう。
それゆえ戦場のカルマでは、敵に見つかりにくいような場所に隠れたり、敵を一方的に攻撃できる地点をぶんどって居座ることが、試合を有利に進めるために欠かせなくなる。
マップは入り組み隠れる場所も多く、キャンプが推奨されているのである。
とにかく戦場のカルマは戦況が硬直しやすい。
仮にリアル系なバランスならばそれでも良いのだろうが、カルマはアクション性が高いのでゲームとしてあっていない。

入り組んだマップ
ここは突撃するのがバカなマップ

スペシャルフォース直系のゲームということで、やはり他のゲームらしかぬ要素がある。
ダッキングという、一瞬だけしゃがみながら高速移動をするスキルは傍目から見ると気持ち悪い。
ここは独自のシステムということで評価はおいておくが、強力な課金装備と武器があるのはどうしようもない。
流石に実装当初よりも弱くなっているとはいえ、課金した人ほど強くなれるというのはハンゲームだけでなく韓国(中国)製のアイテム課金ゲームにひろく見られる汚点である。
やはりFPSとオンラインゲームの相性はよくないのだろうか。

戦場のカルマは見た目こそ良いゲームだ。
操作感もキッチリ作ってある。
しかし、中身は期待はずれにもほどがある。
戦場のカルマは超劣化したバトルフィールドとコールオブデューティーを足して2で割ったもの、いや、それらを元にしたAVAのさらなる劣化である。

課金装備
HCというポイントが課金装備。KPはゲーム内ポイントの装備だが、懐事情は苦しい

まとめ
グラフィックスや時代設定には目を見張るものがあるものの、内容が見た目にまったく追いついていない。
ワンサイドゲームに陥りやすいマップ構成や変化が少なくて狭いマップが多く、長時間やらずとも飽きやすい。
課金要素は緩和されたとはいえ、これから何が出てくるか分からない。
たまに気軽にやる分には悪くはないゲームだとは思うが、それはどのゲームにしたって同じである。

点数41点
リンク

公式ウェブサイト



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