Half-Life2 Episode One(ハーフライフ2 エピソード1)レビュー --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
レビュー最終更新日 2008年11月
Half-Life2 Episode One(ハーフライフ2 エピソード1)
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機種:PC
ジャンル:FPS
発売年:2006年
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一応拡張パックの形をとっているが、これはハーフライフ2の続編である。
そのためこれをやる人はハーフライフ2をプレイしていることが前提となっている。
また私の書いたハーフライフ2のレビューも参照していただけるとうれしい。
本作は「エピソード1」と銘打ってあるように、販売方法が少し変わっている。
それほど多くない内容で低価格のエピソード三つを、数年かけて発売するというもの。
三つのエピソードを合わせれば製品一本分のボリュームになるというわけだ。
エピソード1は続編ではあるが、ゲームの根幹は変わっていないので操作感覚はまったく同じである。
グラフィックの強化は行われているものの目立った変化はないと思っていい。
本編と変わっているのは、当たり前だがストーリー展開とゲームのデザイン。
特にゲームデザインは本編を踏襲しつつ、新たな面を見せている。
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光の加減が美しいグラフィック
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エピソード1のデザインについての中心的な柱は二つある。
一つはFPSによくある戦闘部分ではなく、アドベンチャー(謎解き)的な要素を徹底的に入れること。
もうひとつは主人公ゴードンフリーマンの味方であるアリックスとゲーム開始時から終了までともに行動することである。
ハーフライフ2はFPSというよりもアドベンチャーゲームに近いと評されていたわけだが、エピソード1ではさらにおし進められている。
ゲームの三分の一が過ぎないと銃は手に入らないし、手に入る弾薬の量も少ない。
それまでは何をしているのかというと、重力銃を駆使して敵を倒したり謎解きをする。
銃が手に入ってからは普通のFPSっぽくなることはなるのだが、暗い空間で多数の敵と交戦したり、開かない扉を開けに遠回りしたりする。
とまあ存分に銃で暴れまわれるようには作られていない。
さすがに終盤では戦闘場面が連続するのでガンガン銃を撃てるのだが、全体に占める部分としてはかなり少ない。
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数少ない戦闘パート
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もうひとつの特徴はアリックスとの共闘である。
単独で行動する場面はあるにはあるのだが、基本は二人で進むことになる。
綿密にテストプレイをした結果だとは思うが、アリックスがハマって行動不能になるようなことはなかった。
アリックスの行動の基本は主人公の補助として戦ってくれることと、あとは主人公が解除できない仕掛けを解除してくれることである。
ほかにはプレイヤーがつまりそうな場面でそれとなくヒントを与えてくれる。
プレイ時間は5時間程度だといわれている。
しかも場面がめまぐるしく変わるのであっというまにクリアしてしまうと思う。
エピソード1の入手方法はいろいろな方法があるので、自分のニーズにあった方法で入手してほしい。
少し言わせてもらうと、このエピソード配信によって販売形態が複雑になってしまったのは勘弁してほしい。
ユーザーにあったものを買えると考えればいいのかもしれないが、多くの選択肢はいたずらな混乱をもたらすだけである。
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アリックスと
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●バランスが取れていて本編よりも面白い。
ハーフライフ2の欠点は乗り物ステージの長さなどによる冗長な展開と、中途半端な戦闘とアドベンチャー要素にあった。
エピソード1では大胆にも乗り物を廃止し戦闘もほどほどにする代わりに、アドベンチャー要素を色濃くしている。
さながら本編の面白さを凝縮したのがエピソード1だと言える。
違う見方をすれば、ハーフライフ2に元々あった要素を抜き出して洗練したとも言える。
全体的なゲームバランスやグラフィック等は高いレベルでまとめられている。
これはちぐはぐしていたハーフライフ2とは非常に対照的だ。
いたずらにボリュームを多くすることよりも、時間は短くしてもいいから密度を高くするほうがクオリティは高くなるのである。
しかし時間が短すぎるというのもまた欠点である。
クリアしてからもう一度やろうと思わせるようなマップデザインになっていないことも満足度を下げる要因の一つになっている。
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重力銃はキーアイテム
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エピソード1のストーリーは「崩壊するCity17」から逃げ出すというものである。
つまりは目の前にある障害を重力銃を利用してどのようにして乗り越えていくかがゲームの肝なのである。
だから戦闘パートは少なくて、探索要素とか謎解き要素が豊富に含まれている。
戦闘に関しては暗闇の中襲い掛かってくるゾンビにショットガンを浴びせる場面は緊張感があって確かに面白いのだが、敵対自分という面で見れば面白くはない。
とにかく敵と真正面で一進一退の攻防をする場面が少なく、そこらに落ちている爆発物を利用する場面が多い。
また仲間のアリックスもそう簡単には死なないほど強く、彼女にある程度任せておいても雑魚ゾンビなら何も問題はない。
というか弾薬節約のためにがんばってもらったほうが楽である。
よってプレイヤーは自分が戦っているというよりも、敵が勝手に死んでいく感覚にさいなまれる可能性が非常に高い。
(爆発で敵は死ぬわ、アリックスは奮闘するわで自分が活躍する場面はそれほどない)
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敵を踏み潰しますか、アリックスさん
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謎解き要素が重点的に組み込まれたといっても、その謎解き要素自体もあまりほめられたものではない。
よくわからん光の弾を重力銃で投げつけて装置を起動したり、遠回りして動力スイッチをいれたりといった謎解きが多い。
はっきりいって面白いのか面白くないのかわからないのである。
ただ、単純な戦闘に陥ることがないような仕掛けについては自分は高評価を与えたい。
暗闇の中襲い掛かってくるゾンビを始末するのはなかなかスリリングだし、きちんとライトを照らさないとアリックスが敵を撃ってくれないのも面白い。
無限に沸いて出てくる虫(アントライオンという敵)から逃げながら(虫の排除はアリックスにがんばってもらう)、虫が出てこないように仕掛けをするというのも斬新である。
ただ単に敵をブチのめすのがFPSではないことを、自分に認識させられる場面だった。
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薄気味悪い空間と謎解き後の様子
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人によってはアリックスがプレイヤーと行動を共にすることについて違和感があるかもしれない。
自分はなんとも思わなかったが、アリックスが嫌いな人にとっては苦痛以外の何物でもない。
その点、味方AIがずっとついてくるゲームというのは他に類はないので自分にとってはかなり新鮮味があった。
一つ最後に述べるなら、ハーフライフ2の世界を崩さないための措置だと思えるが、ハーフライフ2から世界(グラフィック等)が変わっていないことを付け加えたい。
初代をやったときは美しいグラフィックや独特の未来感を見るだけでも楽しかった。
しかしさすがに後から同じもの(厳密にはよくなっているのだが)を見せられてもインパクトはない。
これはエピソード配信を行う上での避けられない問題点だろう。
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アリックスと戦闘
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本編をブラッシュアップしたものが「ハーフライフ2 エピソード1」だと言って差し支えはないだろう。
アドベンチャーっぽさが好きな人には満足感が得られるだろうが、戦闘に関しての面白さはかなり少なくなってしまったので人によっては不満は残ると思われる。
またストーリーの進展もなく、これといって目玉要素もない。
したがってハーフライフ2が楽しめたらこれも楽しめるはずで、楽しめなった人はもちろんエピソード1も楽しめないだろう。
点数79点
公式ウェブサイト
Valve