「侍」はこうして作られた 紹介・感想 --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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最終更新日 2010年7月

「侍」はこうして作られた
著者:新清士

出版社:新紀元社
出版年:2002年

 
紹介
ゲーム系ジャーナリストとして活躍する新清士が執筆している。
アクワイアという会社が「侍」をPS2で開発する様子を2年ちかく取材した本である。
時系列にしたがって開発の経緯がわかりやすく実名をだしながら触れられている。
毎週いくつものゲームが開発、発売されている。
ということは何百何千もの開発秘話があるはずだが、表になることはほとんどない。
それも事細かなことはほとんど謎に包まれていると言って良いだろう。
本書は会社の協力を得て、普段明らかになることがないゲーム開発の裏側を教えてくれる。

感想
●PS2世代でゲーム作りは変わった

□大規模化するゲーム開発

アクワイアがはじめてPS2向けに作ったゲームの取材なので、当時の状況が克明に書かれている。
みえることはただひとつ「ゲームの作り方が大激変していた時期」であることだ。

PS時代までのゲーム開発は少数で行われていた。
しかし求められる質が高まるにつれて携わる人数が増え、大規模なプロジェクトが増えていった。
かつては作りながら考えていく、作りながらコンセプトがプログラマーなどの開発者に伝わっていくという形だったかもしれない。
人数が増えるとこのような作り方はたいへん非効率になる。
何をすればいいのか、自分たちは何を作っているのかが見えなくなるのである。

「侍」が出来上がる過程はまさしくそのようなものであった。
ゲームを作る前にプランナー兼ディレクターは明確な仕様を決めずにゲーム開発に踏み切っている。
また、途中幾度も自分の理想と刷る姿に近づけるために仕様変更を行った。
これでは他のメンバーは何をしているのか何をすればよいのかがわからない。

結局「侍」はなんとかして形に仕上がり、好評を得るわけだが、順調に開発が進んだとは言えない。
以前から使われていた手法がまったく通用しなかったのはアクワイアにとっていい経験になったはずだ。
同じような事例は同時期にPS2を開発したどの会社も経験していたかもしれない。
ゲーム開発はチームの仕事なのである。
チームを纏め上げるディレクターの仕事が重要になってきたのではないだろうか。


□本当に貴重な本

守秘義務にも抵触する可能性があるので、今後こういった本が出てくる可能性は未知数だ。
また、開発が変わっていく過渡期でることも手伝って、いま同じような本が出てきても、ここまで劇的な本になるかどうかは疑わしい。


おすすめ度

★★★★★

ゲーム開発を記録した本として高く評価できる。
ソフトウェア開発というのを知らない人が読めば得ることは多いだろう



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