遊びのチカラ ナムコの高付加価値戦略 紹介・感想 --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
最終更新日 2010年7月
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遊びのチカラ ナムコの高付加価値戦略
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著者:小山信幸
出版社:日経BP出版
出版年:2005年
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ナムコの創業50年にあわせるように企画されたナムコ本。
いまではゲームソフトを作る企業として認知され、バンダイとの合併も行った。
しかしナムコの原点はアミューズメント企業としての側面にある。
お客をどのように楽しませるかを半世紀考え続けてきた企業なのである。
単に遊具を作るだけでなくてゲームセンターの運営やフードパークの運営も、それは究極的には楽しませるためにあるのだ。
「遊びをクリエイトする」企業としてナムコの社史を取り上げている。
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●ナムコがおかしくなる前の話
□エンターテイメント企業としてのナムコ
家庭用ゲーム業界には色々な企業が参入しているが、参入する前はどのような企業だったのかによっていくつかに分類できる。
任天堂のようなおもちゃ業界、ハドソンのようなパソコン業界などに加え、アミューズメント産業からの進出も行われていた。
それがナムコやタイトー、セガ、カプコンといった企業だ。
タイトーのインベーダーブーム以降に真っ先に頭角を現したのはナムコである。
ギャラクシアン、パックマン、ゼビウス、ドルアーガと80年代のナムコは任天堂並みかそれ以上のソフトメーカーであった。
また、ゲームセンターの経営を行うかたわらに社長の中村雅哉はゲーセンの風紀や地位向上に尽力し、90年代からは総合アミューズメント施設も手がけている。
ナムコはアミューズメント産業畑の企業なのである。
そしていかにお客を楽しませるかを考え続けた結果がテーマパークの設営であり、フードパークや医療用ゲーム・老人用ゲーム/施設の運営につながっている。
こうしたものに「楽しく遊んでもらう」という一本の線が見出せるのだ。
私が本を読んでいてなるほどなと思ったのがこのようなエンターテイメント路線である。
こういっては失礼だがナムコのゲームはバランスに優れているとは言いがたい。
同じアーケード畑のセガやカプコンのようなコアゲーマー御用達のメーカーとはまったく毛色が異なるのだ。
あえて言うならワニワニパニック(もぐらたたき)のような明るくてポップ、そしてよくわからない世界が描かれている。
ゲームセンターのような実地ロケーションで誰でも楽しめるゲームを提供して笑顔を作るのがナムコのゲームなのだ。
実際に触って楽しむことを重視する姿勢は、デイサービスセンターの運営にも生かされている。
ナムコは餃子などのフードテーマパークも手がけている。
それこそゲームセンター運営で培ったノウハウを生かした新規事業なのである。
以前の私は「餃子屋」とからかっていたが、多少見直した。
□ナムコの迷走
それでもナムコは相次ぐ迷走で幾度となく話題を提供してくれる。
本書はいいところしか書いておらず、ここからの内容は私自身の意見となっている。
ナムコはファミコン初期に特権を与えられていたメーカーだった。
ロムカセット製作や販売においてある程度自由な裁量があったといってよい。
しかし任天堂は調子乗っていたナムコに対して少し厳しい態度を示したら、ナムコは逆ギレして初代PS立ち上げ時にソニー陣営についてしまった。
PSの開発環境をそろえたり、リッジレーサーや鉄拳を発売した影の立役者である。
数年後にナムコと任天堂はよりを戻し、ゲームキューブで任天堂のキャラクターゲームであるスターフォックスやマリオカートのアーケードバージョンを開発するにいたる。
だが、このとき二軍チームにフォックスもマリカも作らせた。
どうしようもないダメゲーが生まれてしまった。
その後任天堂がWiiで出したゲームのソースを丸パクリしたり、ほんとオイタが過ぎるメーカーである。
また、2003年に成果主義を導入したが、これがナムコの凋落を生んだといわれている。
リスクを避ける開発者たちがテイルズや太鼓の達人シリーズの製作に群がったのである。
こうしてシリーズが乱発され、ナムコの評価を一段と貶めた。
成果主義の導入によって新フランチャイズの立ち上げは滅法少なくなってしまったという。
これに乗るようにして有力な開発者はナムコを去り、開発力が格段に落ちたともいわれている。
今となってはバンダイナムコホールディングスのお荷物と化した。
今一度原点へ戻り、本書で描かれているような「遊びをクリエイトする」ナムコの復活を信じたいものだ。
そうじゃなければいつまで経っても「餃子屋」と呼んでやる。
したの動画はロゴがひたすら連呼される。(アップロードした人と私はとは別の人)
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★★★
ナムコの輝かしい歴史が書かれた一冊。
負の側面はまったくかかれていないが、ナムコが残したものは大きい。
脈々と受け継がれてきたナムコのエンターテイメント戦略がここにある。