ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ 紹介・感想 --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
最終更新日 2010年9月
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ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ
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著者:ブルボン小林
出版社:筑摩書房
出版年:2010年
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著者のブルボン小林は違う名前で小説も書いている人である。
小説家として活動するときは長嶋有、ブルボン小林名義の仕事はゲームや漫画関係の仕事が多い。
2005年ごろまでエッセイを収録している。
ひとつひとつのエッセイは雑誌や新聞に連載されていたものなので短い。
また本業(?)が小説家だけあって文章は上手でとても読みやすい。
難しいことも書いていないので、電車の中で読むとか空き時間に読むのにも適している
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●ゲーム好きなら楽しく読める
□ゲームを見つめているからこその視点
ゲームを語る語り口には様々なものが考えられる。
ブルボン小林はそれこそゲーム少年のような目を持ちながら、ゲームそのものを見つめている。
小説家らしいストーリーに関する考察はさすがといたっところ。
しかし『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』の本領はそこにあるわけではない。
小さい頃からゲームを楽しんでいた人間だからこその視点がある。
特にマイナーなゲームに対する気持ちには並々ならぬものがあると言える。
いかにも奇ゲーとしか思えないものに特攻し、割とまともにレビューを行ったりもすれば、普通は考えもつかない視点でゲームをぶった切ったりする。
自由自在に目線を変えて語っていく様子はさすがといったところ。
しかし敢えてゲームのストーリー性へ深く立ち入らずに、システムやデザインを語ることが多い。
これは小説家としてではなく、ゲーム好きの気持ちを最大限大事にしているからである。
ゲームは読むものではなくやるものだという視点を、ブルボン小林も持っているのだろうか。
□広い視点に驚き
そして様々なものから共通点を見いだしていくエッセイは面白い。
「怒られゲー」「メタルと名のつくゲーム」「有名人が出てくるゲーム」など、著者ならではの豊富なゲーム体験と視野の広さを兼ねあわせている。
自分の好きなものを語るとき、人はうれしいものである。
テンションが上がりいつまでも話を続けて言ってしまう。
『ジュ・ゲーム・モア・ノン・プリュ』は終わるべくして終わってしまったような感じがしない。
これだけの本では語り尽くせないことがまだまだあるかのように、著者の語り方は生き生きとしている。
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★★★★
ややゲームの込み入った話が多いので、ゲーム好きな人の方が読みやすいと思う。
まあ人によっては「ゲーム好きではない人へもおすすめ!」としていはいるが、それでもゲームにたいする知識がそれなりにないと読みにくいだろう。