ゲームの教科書 紹介・感想 --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
最終更新日 2010年6月
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ゲームの教科書
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著者:馬場 保仁、 山本 貴光
出版社:筑摩書房
出版年:2008年
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現役のゲーム制作者がゲームの作り方を分かりやすく伝えている。
全四章でゲームとは何か、ゲーム制作者はどういう仕事をしているのか、そしてゲームクリエイターになるにはどのような技術がいるのか、最後は実際にゲームの企画・制作をしてみようという構成になっている。
中高生向けのちくまプリマー新書ならではの簡潔で丁寧な説明は健在。
これからゲームを作ってみたいと考えている中高生がメインの読者層だと思われるが、ゲーム制作について知りたい人でも十分に面白い。
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●ゲームを作るとはどういうことかが具体的にわかる
□ゲーム制作を志す中高生に
一章はやや抽象的な話をしているけれども、ゲームとはなにかについて再理解をすることができる。
例えば『ひぐらしのなく頃に』を文章を読むだけのゲームとして実例を挙げ、ビデオゲームらしさとはほど遠いと釘を刺している。
やや片手落ちの感はあるが、ビデオゲームの定義がぼやけてくる昨今は必要な章だったのだと思う。
さて中高生にとって一番知りたい情報が載っているのは二章以降だ。
ゲームを作る人はどういう職種の人がいるのか、そして、どのようなことを勉強すればいいのかが書かれていて、もし中学時代に本書を読むと人生が変わるという人もいそうなぐらいだ。
サッカー選手になるために一生懸命練習することはあっても、ほかのなりたい職業になるために何かをがんばると言うことはまり聞いたことはない。
それは会社で働く職業であればあるほどなおさらだ。
だからプリマ新書で出す意味はあったと思う。
□ゲーム制作を知りたい方へも
まず、ディレクターは何をしているか、プロデューサーは何をしているかというのがわかる。
映画と違ってゲームのディレクターとプロデューサーはどう違うかなど、ゲームならではの情報もある。
ゲーム制作のようなクリエイティブな職場はどうなっているのかが分かるだろう。
ただ、ゲームに興味がない人にはややつらい話題が続く。
具体的なゲームの名前が出てきたり、ゲームの中身を想像できないと厳しい話題が出てくる。
□プランナーの仕事を紹介する四章は白眉
おすすめなのが四章だ。
ゲームクリエイターの仕事の中で最も何をやっているのか分からないプランナーの仕事をなぞりながら、一ヶ月でゲームの仕様書を作ってみせている。
読者が実際にプランナーになったつもりで企画書を作ることを念頭に置いて書かれている。
中学生なら夏休みの一ヶ月をかけてじっくり取り組める。
好きなゲームを妄想して企画書を作っても良いし、RPGツクールで制作に取りかかるのも良いかもしれない。
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★★★★
ゲームクリエイターになりたい人へは★5で、それ以外の人は★3。
総評は中間の★4とした。
ゲームがどのように作られるかという過程がかなり立体的に浮かび上がってくる。