ゲーム業界の歩き方  紹介・感想 --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
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最終更新日 2010年6月

ゲーム業界の歩き方
著者:石島 照代

出版社:ダイヤモンド社
出版年:2009年

 
紹介
ゲーム業界に関する記事やPRを行っている石島照代が執筆。
幅広い人脈を生かしてゲーム業界のそうそうたるトップのインタビューやふだん注目されない非開発職にインタビューが掲載されている。
匿名の人を含めると相当な人数のインタビューがあり、ゲームを取り扱う会社に様々な業務があるという当たり前のことをイメージさせるのに役立っている。
特に宣伝・広報・法務・営業という他業界とも共通するゲーム業界の花形ではない業種に、大量のページを割いているのは類書にはみられない。
これから就職活動を始める人がゲーム業界の、とくに非開発職について知りたいときに助けになる。

感想
●目の付け所はよいと思うが、情報は薄っぺらい

□トップ層へのインタビューは必要だったのか

誰だって会社のトップにたち、大きな仕事をしたいと考えると思う。
多大な給料を得られるという面もあれば人の上に立つ醍醐味もあるんだろうか。
本書の半分はこういうトップ層へのインタビューがしめられている。
確かに本にのっている人たちの多くはいまでは非開発系の仕事をしている。
本当に豪華な面々でもあり、例えば任天堂の岩田、カプコンの稲船敬二、スクエニの和田洋一、EAのピーター・ムーア、バンナムの鵜之澤といった人たちである。
紙面はそれほど多くはないものの、その人独自のエピソードや社風がうかがい知れるインタビューは面白い。
しかし、メインコンセプトである文系でも就ける非開発職についての情報がほとんどないので、構成的にはかなり浮いている。
話じたいは各人の考えや経歴が事細かに語られていて面白いとは思う。
私はピーター・ムーアと和田洋一のインタビューがかなり面白い。
ムーアは唯一の海外企業でもあるし、本にはEAの紹介もされている。
和田はいつも面白いことを言っているので割愛。

□裏方へスポットライトを与える

メインの非開発職へのインタビューだが、トップと比べると量の少なさが目立つ。
業務について詳しいことが語られていないので当たり障りのない発言ばかりに終始している。
ゲームクリエイター以外を特集していることはすばらしい。

また中堅から小規模な会社へのインタビューがまったくないのは、非開発職部門の人数が少ないからなのかもしれないが、少しでも触れて欲しかったところだ。

まあなんというかたくさんインタビューしているぶんだけ大量の情報は載っている。
そのかわり突っ込んだところへの話がないし、内容が散漫な印象がある。



おすすめ度

★★★

もっと詳しいところは自分で調べてくださいね、という本だろうか。
トップクリエイターのインタビューは目玉だが、底にエネルギーを吸い取られすぎだと思う。


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