日本を変えた10大ゲーム機 紹介・感想 --FF2400-- ゲームのレビュー・紹介
最終更新日 2010年6月
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日本を変えた10大ゲーム機
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著者:多根 清史
出版社:ソフトバンククリエイティブ
出版年:2008年
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オタク系ライターとしてゲームやアニメの文章を執筆している多根清史が執筆。
ゲーム機を10台ピックアップして、日本人の生活とゲームの機との関わり合いを論じている。
ふつうゲームを論じるときはハードとソフトの関わり合いについて述べるか、人間・社会との関わり合いを絡めて書かれる。
本書は後者の社会的影響を中心議題にして書かれている「はず」である。
「はず」と書いたのは理由がある。
著者はまえがきやインタビューでは日本を変えたゲーム機という視点を強調しているのだが、本の内容にはそれほど生かされているとは思えないからだ。
そのあたりは感想で触れることにする。
300近いページ数もあるので読むのは少ししんどいかもしれない。
読んだら読んだで30年に及ぶゲーム機の歴史を一気に駆け抜けることにはなる。
一貫した視点や論点があるわけではなく、ゲーム機一つ一つについて売れた理由と売れなかった理由が書かれていることが多い。
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●題名に合致するのはファミコン、ゲームボーイの話題だけ
□ファミコンの話題は社会とリンクする
著者は1967年生まれでインベーダーブームを間近で見ていた世代だ。
その後ファミコンブームの時代は20歳前後だ。
本の内容もファミコンに関する話題は最も詳しく、そしてタイトル通りにゲームという枠組みからから飛び出たゲーム機を扱っている。
『ゲームセンターあらし』や『ファミコンロッキー』などのファミコンまんがについて一定の評価を読者側からの視点で描いている点は評価できる。
そして高橋名人・毛利名人の全国キャラバンブームもコンパクトにまとまっていて分かりやすい。
一種のブームというのは、その時代にいなければなかなかわかりづらいものだ。
時間が過ぎればあっという間に忘れ去られて語られることもなくなってしまう。
だがファミコンブームを語る上では絶対に外せない事柄である。
20年以上も昔の話を書き起こしてくれているので、今では忘れがちなことを再認させてくれる。
ゲームボーイも著者独自の考察から入ってポケモンブームへ繋げていくあたりはきちんと書かれていると思う。
著者は据え置きゲームは機能を盛り込めば盛り込むほどよいとした上で、携帯ゲーム機は反対にいらない機能をそぎ落とすべきだという考えはなかなか面白い。
□ほとんどが事実の羅列と市場の動向
しかしファミコンとゲームボーイ以外は、社会に与えたい影響がほとんど書かれていないのにはがっかりした。
ゲーム機が売れた理由と売れなかった理由、そしてゲーム機のコンセプトが書かれているだけなのである。
経済規模で言えばゲーム機の市場は馬鹿にならないほど大きくなっている。
本書で述べたかったことはそういうことではないはずだ。
もし社会的影響を軸に話すのならコロコロコミックと任天堂の関係による小学生のゲーム環境、プレステ以降の大人層へ向けたゲームの発信といったものは大きく紙面を割くべきである。
ゲームの歴史を大きく見渡すのではなくて、時代や分野・ゲーム機をもっと絞って書かないと内容が浅く散漫になる。
あれもこれもと書いていったらただ分厚いだけの本になってしまうのではなかろうか。
また、ゲーム機が売れた理由の考察も対して行われず、かなりお粗末である。
特にDSとWiiは非ゲーマー層を取り込んだから売れたとしか書いていない。
色々と変わったことをしているDSやWiiのサービスを紹介し、「これが受け入れられました」とだけ書いてあるのである。
□話としては面白いか
インターネットで毎日ゲーム情報をあさっているような人間(私)にとってはプレステ以前の記事に目新しい情報が載っているだけだった。
なぜならプレステ2以降の動向はインターネットに蓄積されているからである。
当時何があったのかは個人のサイト、掲示板、ブログをナナメ読みさえすれば本書に書いてあることは100パーセント見つかると言える。
おまけに参考文献にあげられている本のほうが詳しくてためになりそうなくらいだ。
かなり酷評してきたが、ゲーム機戦争物語としては面白いと言えるかもしれない。
一言でゲームソフトと言っても軽いものから重いものまで様々である。
そして時代とともにかたちが変遷していく。
時代ごとにどのようなゲーム機が現れ、売れたのか売れなかったのかというのは脚色をしなくとも面白いエピソードにあふれている。
そう考えれば、面白い本である。
資料的な価値とかはあんまりないが。
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★★
『日本を変えた10大ゲーム機』この題名は間違いです。
ただしくは『物語10大ゲーム機戦争』でしょう。