RPGの感性とFPSの感性

RPGさんとFPSさんがひとつの対戦ゲームについて会話をしている。

RPG「対戦ゲームって、がんばってもがんばっても報われないことがあるんだよなあ」
FPS「確かにプレイヤースキルの差ってのはあるね」
RPG「こっちはずいぶんやっているのだけれど、そんなに階級が高くない相手にムザムザとやられるのはねえ。ちょっと嫌だなあ」
FPS「でも対戦ゲームだから仕方がないでしょう。上手い下手の差をどう補うかを考えるところもゲームのひとつですよ。FPSなら照準を合わせる力が足りなければ立ち回りでどうにかすることもあります」
RPG「うん、そうだよ。けれども長くやってきたことへの報酬がほしいんだ。金色の武器が手に入るとか、迷彩柄の衣装が手に入るとかではなくて、高階級専用の強力な武器はいいかも。そこまでゲームバランスを崩さない程度に導入するの」
FPS「そうすると公平性が失われてしまいませんか?多少のことはいいかもしれませんが・・・」
RPG「高階級だけしか使えない武器が露骨すぎるんだったら、RPGのように経験値やお金を使ってカスタマイズの幅が広げていくようにすればいいんじゃないかな。これならモチベーションの持続にもなると思う」
FPS「しかしやはり初期状態ではゲームすべてが楽しめない点が気になります。不公平感が残っていますよ。長く遊んだプレイヤーには蓄積された技術と知識に加え、システム側からレベルアップで強さにゲタが履かされているではありませんか。上手くなっていく過程は知識や技術といった自分の中に取り込んだものに限られるべきです」
RPG「どうにかしてゲームシステム側に上達の経緯を組み込めないかな、と思ったんだけどね」
FPS「シングルプレイなら分からないことでもないですね。武器や能力の適度なアップグレードは長時間の退屈なプレイへのほどよいアクセントにもなりますから」
RPG「対戦ゲームにも多少は取り入れた方が遊びの幅も広がると思うんだけどなあ。それでいて多少は強くなれば、よしって感じで」
FPS「難しいですね。新しい戦術の開発、マップの探索、コンボの探求、そういったものでじゅうぶんだと私は思うのですけれど」
RPG「漫然と遊んでいようとも、単純にプレイ時間に比例するようなものがあったらなあ」
FPS「いわゆる羨望を集める対照としての衣装やロゴといったものではなく、スコアや結果に直接関係するものですか。何度も言いますが、それはやはり・・・」
RPG「認められない?」
FPS「ええ、度が過ぎると対戦ゲームではなくなります」
RPG「そうかあ」

後日、RPGさんとFPSさんが新規プレイヤーについて話をしている

FPS「あたらしくゲームを始めた友人がなかなか遊んでくれませんね。シングルプレイは楽しくやっているようだけど、対戦は無理だと言っています」
RPG「ああ、対戦だとすっごく上手い人が多いからねえ。しばらくはやられ続けられる羽目になっちゃう」
FPS「そうなんだ。だけど、弱い人もいれば強い人もいるのが多人数対戦ゲームも良さでもある。相手の強いプレイヤーといかにして戦わずに、弱点となる穴をつくかを考える戦術もあるんですよ」
RPG「一理あるけどさ、そんなことしていたら初心者は寄りつかないよね。初心者専用のサーバーを用意するのもいいよ。でも階級が上がってしまったら意味なくなってしまう。だったらいっそのこと、初心者や階級を低い人を倒してもスコアに結びつかなくなるようにしたらどうだろう?初心者狩りをしてもちっぽけなポイントしか手に入らないようにすればいいんだ。逆に高い階級やレベルの人は逆に倒されたらたくさんのポイントを蒔くようにする、と」
FPS「それだと階級が低いプレイヤーはどんどん前へ出て行って、階級が高いプレイヤーは迂闊に前に出られなくなってしまいませんか?」
RPG「ふっふっふ。以前に言っていた高レベル専用の武器を用意したら釣り合いが取れると思わない?」
FPS「なるほど。高い階級であれば強い武器を手に入れられる代わりに、相手からすると恰好のポイントを得られる餌となる。そういうわけですか」
RPG「ついでにいうならスコアが低かったり階級が低かったりしたら、強力なアイテムを使いやすくするというのもいいかもしれないよね。実力差を縮めて接戦を作り出すようにしたらば白熱するでしょ?」
FPS「ある程度の公平性を犠牲にしつつも、最終的なスコアやの差をでにくくするようにするわけですか」
RPG「まるで機会の平等と結果の平等みたいだよ」
FPS「はっはっは。ゲームの話をしていたらなぜか経済や政治みたくなってきましたね。ですがそうなると一つ見落としていることがあります。今まではゲームシステムの話でしたが、その中で動く人のことも考えなければなりません。もし高いレベルの人が報酬と敵に与えるポイントを比較して割に合わなくなったと考えれば、新しくアカウントを作りなおし続ける可能性があるでしょうね。はたまた逆に、高階級のうま味がありすぎるとすれば、新規参入者は初めから絶対的な差をまのあたりにしてやる気を失ってしまうかもしれない。そのあたりの調整は驚くほど複雑になってしまいませんか?」
RPG「どうにかするのが、ゲームクリエイターではないかな、とは思うけれどね。でもゴチャゴチャするだろうなあ。ちょっとした調整の加減でクソゲーになったり良ゲーになったりしそうだ」
FPS「そう、だからこそ調整するための余地を無くして、できるだけシンプルに作ることが求められると思うのです。考えるべき要素が少ないほどバランスのさじ加減はととのえやすくなる」
RPG「となると、システム面には何も手を加えていなくて、実力差だけがある世界にならない?」
FPS「まあ対戦ゲームとはそういうものでしょう」
RPG「そうかなあ。あ、話がループしてきたぞ。ずっとやっていても一向に上手くなれない人や、新しく始めた人への対処がなくなってしまう。結局どうすればいいんだろう」
FPS「公平さをできるだけ維持したまま、それでいて実力が低い人への配慮をするシステムは永遠の課題でしょうかね。私は何もいじらなくても良いとは思いますが、このままでは先細りになりかねないという心配はあります」
RPG「実力がない人をブーストするシステムを実装すると反対に、実力のある人のモチベーションが下がりかねない。またその逆もしかり。これは一朝一夕では解決できない問題だね。もとめられるものは製品によってもちがうだろうし、クリエイターによって考える方向性も異なるわけで、ひとつひとつのゲームをつぶさにみていくしかないのだろうね」